民主党政権は、経済の成長戦略を示すことよりも、消費税増税を優先させています。
そして、その増税が必要であることの理由に一つに、財政再建を上げています。
確かに、欧州においても、債務危機で各国が緊縮財政を進めています。
しかし、ここにきて財政再建優先した増税や歳出削減などの緊縮財政に対する批判が強まっており、経済成長との両立を探る動きが出てきました(※1)。
ノーベル賞経済学者のクルーグマン氏は、失業率が悲惨なまでに高かったにもかかわらず、財政赤字削減を主張する欧米の政策エリートたちを「まるで古代のカルトの聖職者のようだ」と評し、「ギリシャやアイルランドでの緊縮財政計画の悲惨な結果を見るべきだ」と主張しています。
経済評論家の近藤駿介氏も自身のブログで「ユーロがこの数年実施してきた『緊縮財政一辺倒の財政再建』という壮大な実験が失敗に終わることが明白になった今でも、『ユーロの危機は対岸の火事ではない』『ユーロ化を防ぐ』と繰り返して来た野田政権は、失敗に終わることが明らかになったユーロの実験を繰り返すつもりなのだろうか」と疑問を呈しています(※2)。
企業経営で考えてみても分かりますが、経費削減ばかり行えば、一時的に赤字は縮小するかもしれませんが、売上が伸びることはありません。
企業の成長のためには将来に対して投資する必要があります。
しかし、野田政権からは、日本の具体的で力強い成長戦略が見えてくることは無く、むしろ日本は縮小していくことを甘んじて受け入れているようにさえ見えます。
消費税増税法案には景気条項が盛り込まれましたが、それはあくまで努力目標にすぎません。
野田政権は、増税の前になすべきことは山ほどあります。
現状のまま、増税すれば、経済の低迷により、結局、国の税収全体では今よりも落ち込む可能性が極めて高いのです。
今行うべき政策は、増税ではなく、無駄な歳出やバラマキなどの削減を打ち出すと共に、将来の税収増を見込めるインフラ・交通革命・未来産業などへの積極投資であると考えます。
※1:5月3日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/access/article/g=969599969381959FE2E0E2E19D8DE2E0E2E7E0E2E3E09494E0E2E2E2
※2:http://blogos.com/article/38299/