先にこのブログで、4月10日の金融政策決定会合で日銀が金融政策の現状維持を決めたことに対し、事実上のインフレ目標である1%の物価上昇率を達成するのには不十分だと指摘しましたが、今回、4月27日の金融政策決定会合で、日銀は、資産買い入れ基金の枠を5兆円増額する追加金融緩和を決定しました。
この決定を受けて、日経平均株価は直後に100円以上一気に上昇しました。
しかし、その後、利益確定のための売りが先行し、結局前日比41円安で終わりました。
同様に円相場にも大きな動きは無く、マーケットは今回も期待外れの感が強かったようです。
実際、日銀が同日に公表した経済・物価情勢の展望リポートによれば、消費者物価上昇率は2012年度で0.3%、2013年度で0.7%となり、来年度中でも目標の1%には届かないとのことです。
米経済紙ブルームバーグによれば、この会合に先立って元日銀審議委員の中原伸之氏が日銀に対し、物価目標を1%から2%に引き上げる、強力な金融緩和を2014年終盤まで延長する、長期国債買い切りオペを現状の月額1.8兆円から20%増額する、という内容の提言を行なったとのことです
しかし、今回の金融政策決定会合での日銀の決定は、中原氏の提言を無視した格好です。
日銀は、口では1%のインフレ目標を導入しデフレ脱却を目指すとしていますが、インフレファイターとしての本質は隠せず、景気が上向くことを喜んでいないように見えます。
金融緩和の効果は限定的との意見もありますが、たかが1%のインフレ目標を提示しただけで株価が上昇し円相場が円安に振れましたし、ノーベル経済学者であったM・フリードマンは、金融政策は最速で半年たって効果が表れ、数年後になることもあることを指摘しています。
インフレ目標の導入が本気ならば、日銀は中原氏の提言を少しでも受け入れるべきと思います。