野田政権は、福井県の大飯原発3号機と4号機の再稼働を妥当と判断し、福井県に再稼働を求める方針を決定しました。
しかしながら、再稼働について世論は賛否両論ある状況です。
再稼働に反対の理由としては「原発の安全性に疑問がある」ということが主でしょうし、賛成の理由としては「経済への影響」を上げる報道を目にします。
確かに、原発を再稼働しないことによる電力不足が生じれば、原発が立地する地元経済のみならず、産業界全体に悪影響を及ぼします。
しかし、原発の再稼働の問題はそれだけにとどまらず、エネルギー安全保障や国防上の抑止力としての安全保障にも影響します。
また、夏場の電力不足は健康被害までも引き起こす恐れがあります。
事実、昨年の夏は、過度の節電によると思われる熱中症の被害が多発しました。
そんな中で、4月16日、橋下大阪市長は「再稼働に対して徹底抗戦する」「再稼働の是非を国民の皆さんに決めてもらう」と、再稼働問題を次期衆院選の争点にすると宣言しました。
これは、小泉郵政選挙の如く、原発再稼働の是非を問う事実上の国民投票を衆院選挙で行いたいということです。
脱原発については、感情的な議論もあるため、こうした動きはポピュリズムともいえるものです。
先の衆院選挙では、マスコミの影響もあり、民主党政権が誕生すればバラ色の日本の未来が開けるような期待が盛り上がりましたが、民主党政権の実態はこの体たらくです。
今回の再稼働や脱原発の議論も、冷静に現実を見据える必要があります。
国内の電力市場では、家庭用が約3分の1、産業用・業務用が残り3分の2であり、特に産業用、業務用の節電は容易ではありません。
この状況にもかかわらず、橋下市長は、今夏の大阪の電力危機をどのように乗り越えるのか、具体策を示せていません。
節電や計画停電は、経済・生産活動を抑制させます。
更に、消費税増税が重なれば、日本経済にとっては壊滅的な打撃となります。
再生可能エネルギーも、開発を行うべきと考えますが、直ちに原発の代替えになることはあり得ません。
私たちは、エネルギー問題の本質とは何かを考えてみる必要がありますし、行き過ぎた地域主権は国のあり方に危険を及ぼすことを理解すべきです。
私たち幸福実現党は、福島第一原発事故を教訓とし、原発の安全性をさらに高め、基幹エネルギーとして引き続き使用していく必要があると考えます。