3月9日、日経平均株価が7カ月ぶりに一時1万円台を回復しました。
ユーロ危機が和らいだことや、それに伴うユーロ買い円売りによる円安の進行で輸出関連株が買われたことなどが要因です。
しかし、一方で日本経済の先行きを懸念する声もあります。
このほど発表された日本の2012年1月の経常収支は、比較可能な1985年1月以降最大の4373億円の赤字となりました。
経常収支は、貿易収支と所得収支と経常移転収支の合計のことですが、従来は貿易収支の赤字に対して、海外からの配当金受け取りなどを含む所得収支の黒字が上回っていましたが、この1月に貿易赤字が所得黒字を上回りました。
こうしたことから、「日本企業の国際競争力の低下し、輸出立国である日本の衰退は顕著であり、このまま衰退する日本は身の丈に合ったつつましい生活を目指すべき」、との声もあがっています。
確かに、今までのような発展途上国型の「輸出立国」ではもはやなくなっていく趨勢は続くでしょう。
しかし、これは、世界各国にとって日本が「最終消費地」となって世界的経済を支えているということに他なりません。
今回の貿易収支の赤字は、世界経済の頓化や円高による輸出減少に加え、原発の停止でLNGなどの輸入が大幅に増えたことなどの要因がありますが、これを機に、原発再稼働への圧力が高まるのと同時に、更なる金融緩和の可能性も出てきます。
経常収支が赤字でも、政府によるマクロ経済の運営が安定していれば、金利が上昇することはなく、国債の利払い費が増える懸念は小さくなります。
衰退する未来を肯定することでは、決して幸福にはなれません。
何度も言いますが「もう頑張らなくてもいいんだよ」という言葉は、悪魔のささやきです。
やはり、向上を目指し努力精進することは美徳です。
今考えるべきことは、世界中からモノを買って世界経済を牽引するとともに、さらに付加価値を生む新産業を創造し、製造業をもう一段レベルアップさせ、国民の富を大きくすることです。