3月
05

2012/03/05【突出した伸びを示す中国の軍事費に対し、日本も対応を】

3月4日の中国政府の発表で、中国の2012年度の国防費が、前年度実績比で11.2%増の約8兆7千億円に上ることを明らかにしました(※)。

中国はここ10年で国防費を3倍以上に増加させており、現在の額は米国に次ぐ世界2位の規模です。

しかも、中国政府発表の数字は、不透明な部分が多く、実際の軍事予算は更に多いとされています。

一方、日本の防衛関係費は、23年度で約4兆7千億円と中国の約半分程度です。

しかもこの数字は年々削減されています。

こうしたことから、東アジアの軍事的緊張を高めているのは、北朝鮮と並んで、明らかに中国であるといえます。

中国は、あらゆる分野の軍事力を拡大していますが、核ミサイルを運用する第二砲兵とともに、海軍の拡張がとりわけ日本にとって脅威となっています。

防衛省防衛研究所が2月10日に示した「中国安全保障レポート2011」によれば、中国が経済的発展に伴ってエネルギー消費が増大し、そのために海洋資源の開発が喫緊の課題となっていると指摘しています。

以前、このブログでも指摘しましたが、中国は昨年、北朝鮮の羅津港を租借し、大規模な埠頭を建設しているとされます。

「租借」とは、外国が主権を行使して土地や港、道路などを使用できる権利で、実質的な「植民地」といえるものです。

つまり、日本海を隔てて日本に直接面した北朝鮮に、中国が自由に使える植民地が誕生したということです。

しかし、民主党政権の対応はこうした中国の覇権を拡大するスピードに全く追いついていません。

先の次期戦闘機の選定で決まった米国製のF-35の導入も、開発の遅れや調達費用の増大で、選定を取り消すとの話も出ており、このままでは日本の防空体制に穴を開けかねない事態となっています。

米軍もこれまでのようには頼りにならないことが見えています。

日本は、厳しい財政事情にあるとはいえ、中国や北朝鮮に対する抑止力を高めるために、防衛関係費の増強を含む防衛体制の見直しを行うべきです。

※:3月4日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/120304/chn12030416240006-n1.htm