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2012/03/01【消費税増税をやめて、景気が回復すれば自殺者を減らせる】

消費税増税に関する与野党協議の見通しが立たない中、2月29日に行われた野田首相と谷垣総裁による党首討論で、両党首ともに将来の消費税増税を明言しました。

民主党内にあって増税に反対する小沢氏のグループの動きが注目ですが、このままでは増税に向けた翼賛体制が形成されつつあります。

こうした消費税増税の動きについて、近年いっこうに減らない自殺者との関連で考えてみたいと思います。

日本の自殺者数は、14年連続で3万人を超えています。

初めて3万人を超えたのが1998年で、前年に比べて約35%もの急増でした。この1997年といえば、消費税が3%から5%に増税され、景気が一気に冷え込んだ年です。

拓銀、山一証券、長銀など大手金融機関の倒産を伴う金融危機などが起こりました。

自殺に関する政府の分析では、中年男性の自殺死亡率が高く、中でも無職の男性が多いということです。

自殺者が急増した1998年は、それまで順調に増加していた就業者数と雇用者数が初めて減少に転じ、さらに有効求人倍率の年平均が過去最低を記録しています。

リストラと求人の減少が同時に起こり、失業率が急増しました。

自殺を考える人の多くは、失業、多重債務、うつなど複数の悩みを抱えていますが、自殺者の増加は景気の悪化が一因となったことは明らかです。

従って、自殺者を減らすには、「デフレ脱却」「景気回復」「経済成長」が大きな鍵となります。

「増税しても、増税分を社会保障に回せば、将来に不安がなくなるので、消費は冷え込まない」とする意見もありますが、そうした消費行動を取る人はほんの一部ではないでしょうか。

過去を教訓とするならば、不況下での増税で景気が回復することはありません。

「増税やむなし」との考えは、自殺者の増加に加担している面があるのです。

こうした自殺者を減らすためにも、野田首相は、消費税増税を撤回し、いっそうの金融緩和や減税、財政政策等によって早急に景気を回復させることを優先するべきなのです。