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2012/02/27【シリアの惨状に、日本はもっと関心を寄せるべき】

今、世界で何が起こっているのかを知るには、日本のマスコミの報道だけでは十分ではありません。

CNNなどの海外向けのサイトのみならず、欧米の主要なマスコミの国内向けのサイトであっても、国際情勢に関する記事は、日本に比べればたいへん多いと言えます。

これは、裏を返せば日本人が国際情勢にあまり関心が無いことを意味しているとも言えます。

去る2月22日、シリア中西部のホムスで、シリア政府軍の砲撃により、英国のサンデータイムスの女性戦場記者マリー・コルビン氏を含む60名が死亡しました。

欧米のマスコミは、このニュースを大々的に報じ、彼女の死を悼んでいます。

チェニジアで始まった「アラブの春」の流れはシリアにも及びましたが、シリアのアサド政権は軍事力で徹底的に民主化運動を弾圧し続けており、シリアの反体制派でつくる地域調整委員会(LCC)によると、これまでの死者は9千人に迫るとのことです。

コルビン記者は亡くなる前日、CNNのニュースで、「シリア軍は寒さと飢えに苦しむ民間人を砲撃している」と伝えるとともに、たくさんの子供たちが犠牲になっていると話し「この子の姿が人々を動かし、ホムスで毎日人が殺されているのになぜ誰も止めようとしないのか、考えさせてくれるかもしれない」と訴え、ホムスの惨状を伝えていました。

シリア政府は、医師団など外国からの援助を受け入れていません。

その上、シリア政府軍は「いかなるジャーナリストも、シリアの土を一歩踏んだ時、殺す」と宣言しており、実際に、シリア政府軍は、コルビン記者が滞在していた、反体制派が提供した建物を狙って砲撃したと伝えられています。

こうしたシリアで起こっている弾圧に対して、世界中から批判の声があがっています。

しかし、国連安保理では、2度にわたり対シリア非難決議案が、中国とロシアの反対により否決されており、国連安保理は機能していない状況です。

シリアはイスラム原理主義勢力を援助しており、現政権の崩壊は中東地域全体の不安定化をもたらすとの危惧もありますが、中東の自由化・民主化の流れを止めるべきではありません。

中東は、イランの核開発問題など、予断を許さない状況が続いており、その状況如何によっては、日本への影響も大きいことを知るべきです。

国内政局に比して中東情勢をあまり伝えない日本のマスコミの報道姿勢にも問題がありますが、日本は、もっと世界に関心を寄せて、世界のリーダーとして、世界の平和と繁栄に貢献すべきです。