農業や医療分野を中心に、未だに反対の声の多い日本のTPP参加議論ですが、2月18日付の日本経済新聞に「『TPPおばけ』の真意が徐々に判明」と題して、TPP参加にまつわる誤解が改めて掲載されていましたので以下に抜粋を記します。
・混合診療解禁・単純労働者受け入れを求められる
→ 米国が「要求していない」と否定
・関税撤廃の例外が認められず国内農業が壊滅
→ 交渉次第で例外が認められる可能性
・7月にも妥結。ルール作りに加わるには手遅れ
→ 早期妥結は困難。日本に時間的な余裕も
などです。私たち幸福実現党は、TPP参加を通じ、より一層の貿易の自由化を推し進め、もう一段の経済成長を成し遂げるために、基本的にはTPPに参加すべきと考えています。
今回は知的財産権の観点からTPPの効用を考えてみます。今、世界では、著作権や特許などを侵害した違法な音楽CDやDVD、模造品などが出回っていることが問題となっています。
米国は、知的財産によって多くの利益を得ていることは知られていますが、日本にも特許や商標などが世界的なブランドとなっているものが少なくなく、知的財産権保護とその戦略が重要となっています。実際、財務省が公表している国際収支統計におけるサービス収支は、2011年(速報値)では1.6兆円の赤字ですが、2003年から特許使用料は黒字化しており、2011年は7878億円と最大の黒字を計上しています。
一方で、中国、ベトナム、ブルネイなどが知的財産権侵害大国として知られています。このうち、ブルネイとベトナムはTPP参加国なのですが、まずはこの両国に知的財産権を守るように仕向けることにより、最終的にはTPP参加国ではない「世界最大の知的財産権侵害大国」中国を包囲することが可能となります。
つまり、TPPを通じて海賊版の取り締まりや特許・著作権侵害を強化することは、日本企業を守ることにつながるのです。日本は、海外での知的財産保護により積極的に取り組むべきであり、特に中国に対しては一層取締りを強化するように働きかけなければなりません。そして、TPP参加を通じて、米国任せではなく、知的財産部門の強化と人材育成を進めるべきです。