2月8日、日米両政府は、在日米軍再編のロードマップ見直しに関し、沖縄の海兵隊のグアム移転を、普天間基地移設と切り離して先行移転させることを発表しました(※)。
この発表ではグアムに移転する海兵隊の人数は示されませんでしたが、2006年の合意時の約8,000人から約4,700人に縮小することで大筋合意しているとされています。
米政府は、財政難の中で議会から、グアム移転費を2012会計年度の国防権限法案から削除されたため、今回の再編を急ぎたいとの思惑があります。
そこで、見通しが立たない普天間基地移設と切り離したものと思われています。
しかし、今回の切り離しは、1月に発表された米国の新国防戦略において、アジア太平洋地域に米軍の重点を移すことと大きく関係しています。
米政府は、海兵隊のグアム移転の規模を4,700人に縮小すると共に、残る約3300人をハワイ、豪州、フィリピンなどの基地にローテーションで派遣する意向だと報じられています。
海兵隊の移転で、確かに在日米軍のプレゼンスは低下しますが、アジア太平洋全域の視点で見ると、日本のみならず、豪州、フィリピンなどの米国の同盟国による中国包囲網が強化されることで、中国の侵略行為に対する全体的な「抑止力」が高まるのです。
つまり、米軍再編の見直し案が実行されれば、米国の「アジア太平洋重視」戦略が強化されます。
しかし、その前提は、在日米軍と自衛隊の役割が重要であるため、日米同盟がより強固になることです。
従って、野田政権は普天間基地移設問題の円滑な解決を図り、日米同盟を修復する必要があります。
※:2月8日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120208/plc12020819260022-n1.htm