2月3日、中国海軍のフリゲート艦4隻が沖縄本島と宮古島の間の海域を通過しました(※1)。
近年、中国海軍は遠洋での作戦能力を急速に高めつつあります。
中国の大連では航空母艦が試験中ですし、駆逐艦やフリゲート艦も近代化され続々と建造されています。
また、米国の航空母艦を標的とした対艦弾道弾も配備済みとされています。
こうした中国の動きに対し、ジャーナリストの日高義樹氏は著書『帝国の終焉』で、横須賀を事実上の母港としている米空母ジョージ・ワシントンが今後数年で退役し、その後は、横須賀に常時、空母を配備しておくことが不可能になると指摘しています。
更に、同氏は同著で、米国は中国がミサイル戦力を増強したため、遠方から中国を攻撃する体制をつくろうとしていが、(実際には)米国の空母、機動艦隊が(中国軍の増強によって)極東から押し出されようとしていると分析しています。
これに対し、野田政権は、一連の米中の動きが何を意味しているのか、まるで理解していないようです。
政府の中には、今回の中国海軍のフリゲート艦が沖縄本島と宮古島の間の海域を通過したことは、「当該の海域が公海上であり問題ない」とする意見もあるようです。
しかし、実際は、当該の海域は日本の「排他的経済水域」あり、「国連海洋法条約」によれば、「排他的経済水域」は「公海」ではありません。
こうした誤った認識は、「公海の通過だから抗議できない」という政府の弱腰姿勢をもたらすと共に、中国海軍にフィリピン・台湾・沖縄・九州を結ぶ「第1列島線」を突破し、西太平洋へと進出するお墨付きを与える愚かな行為です。
更に、今回の中国海軍のフリゲート艦の通過は、防衛庁の報道資料には、単に「海域」としか記されていませんが、NHKなど一部のマスコミは「公海上」と報道しています(※2)。
こうしたマスコミの間違った認識は、あるいは意図的な表現かもしれませんが、中国海軍の行動を後押しすると共に、政府の弱腰姿勢に拍車をかけています。
政府民主党には、今回の中国海軍の動きについて、抗議する政治家はいません。
このままでは、中国は西太平洋での軍事演習を常態化させてしまいます。
経済のみならず、国防においても素人である民主党政権に、日本の未来を託すことはできません。
※1:防衛省統合幕僚監部報道発表資料http://www.mod.go.jp/jso/Press/press2012/press_pdf/p20120203.pdf
※2:2月3日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20120203/k10015764661000.html