1月31日に行われたフロリダ州での米大統領選の予備選は、ロムニー氏が圧勝しました。
同州での予備選は、CMを使った激しいネガティブ・キャンペーン合戦となりましたが、資金力で勝るロムニー氏が、ギングリッチ氏らを大差で破った形となりました。
しかし、予備選はまだ序盤の段階であり、トップを走るロムニー氏も、公認に必要な代理人数の1割も獲得しておらず、共和党の公認争いはまだまだ続きます。
この予備選では、各候補の宗教性も注目を浴びています。
特に、ロムニー氏は、キリスト教の中でも少数派であり、かつ新興宗教ともいえるモルモン教の熱心な信徒です。
にもかかわらず、モルモン教徒の同氏を大統領候補として選ぼうとしている米国民は、新宗教に対し比較的寛容と言えますし、また、新宗教への偏見を超えて政治家の手腕を見定めようとする人たちであるとも言えます。
一方、日本はというと、憲法に「政教分離」の規定があるため、特に左翼系知識人や左翼マスコミが、「信仰を持っている人が政治家になってはならない」ととらえて、政治家が自身の信仰を表に出すことがはばかられる雰囲気があります。
しかし、「政教分離」は、宗教が政治に参加することを禁じている規定ではないのです。
もともと、憲法における「政教分離」の理念は、「信教の自由」の理念と共に、欧州で誕生し、米国で制度的に確立し、日本国憲法に導入されたものです。
本来の「政教分離原則」とは、「国家の宗教的中立性」を確保することで、「宗教的寛容性」を保障するための規定です。
つまり、「政教分離原則」は「国家による宗教の自由競争への不介入」を定めるものであり、「信教の自由」を保障・補強するためにあるのです。
「政教分離原則」は、宗教団体の政治活動を妨げるものではないというのが、学説、政府見解の一致した意見となっており、既に決着がついている問題なのです。
前述のフロリダ州における予備選の討論会で、ある聴衆から候補者たちに「あなたたちの宗教的信条は大統領としての意思決定にどう影響するか」と質問が出て、候補者の一人であるサントラム氏が、「信仰とそういうことは関係ないと言うかもしれませんが、関係は大ありです。」と答え、拍手喝采が鳴り止まなかったということです。
厳格な「政教分離の原則」が定められている米国であっても、宗教を信じる人が自らの信仰を堂々と表明し、大統領になろうとしています。
私たち幸福実現党は、こうした「政教分離」に対する誤解を正していく啓蒙活動も進めています。