日本の政治が増税で混乱している中、中国は日本固有の領土である尖閣諸島領有に向けての動きを強めています。
1月24日には、中国当局は東シナ海における航空機による巡視活動について、日中中間線を越えて、中国の排他的経済水域の200カイリまで巡視範囲を拡大する方針を明らかにしました(※1)。実際、中国機に対する航空自衛隊の緊急発進の回数が激増しており、平成23年度は第3四半期までに143回(前年度比95回増加)と過去最高を記録しています(※2)。
また、中国政府は、共産党機関紙に、尖閣諸島を「核心的利益」と呼ばせているとのことです。従来、この「核心的利益」という言葉は、台湾問題、チベット、新疆ウイグルなどについて使われてきましたが、ここに来て、南沙諸島などと共に尖閣諸島が加わりました。
1月30日には中国外務省が、日本政府が尖閣諸島周辺を含む無名の無人島の名称を確定させる方針を示し、一部で名称が内定したと報道されたのを受け、「釣魚島(尖閣諸島)と周辺の島は中国固有の領土で、日本側のいかなる一方的な措置も違法で無効だ」と反発する談話を出しました(※3)。
こうした動きに対して、従来から、尖閣諸島を行政管轄に持つ石垣市の中山市長は、日本政府が認めた上で、固定資産税の評価などを目的として合法的に尖閣諸島に上陸する許可を政府に求めています。市長が合法的に尖閣諸島に上陸すれば、日本政府として尖閣諸島が日本の領土であることを主張したことになるからです。
しかし、民主党政権は中国との摩擦を恐れて、同諸島への日本の船の航行を警戒し、島への上陸も禁止しています。政府は石垣市長に対して上陸許可を出さず、日本の領土でありながら、管理義務のある市長ですら上陸できない状況を生み出しています。
民主党政権は、鳩山政権時の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、仙谷官房長官(当時)が、「衝突事件のビデオ映像を公開しない」という中国側からの要求を飲んでいたことが発覚しています。中国漁船の方から海上保安庁の巡視船に衝突したことは、その後のビデオ流出で明らかになりましたが、当初、仙石氏がビデオ隠蔽を指示していたため、中国は「日本の方から衝突させた」との主張を譲らず、日本側を非難し続け、日本に謝罪と賠償まで求めていました。
このように民主党政権では、尖閣諸島はおろか日本を守り抜くことはできません。日本は中国の戦略を見定め、知恵ある外交を展開し、南西諸島の国防を強化しなければならないのです。「国防」という国家の責務を放棄する民主党政権は退陣すべきです。
※1:1月24日付共同通信http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012012401001951.html
※2:1月19日防衛省http://www.mod.go.jp/jso/Press/press2012/press_pdf/p20120119.pdf
※3:1月29日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/120130/chn12013021270004-n1.htm