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2012/01/18【馬氏の当選で、台湾の中国依存が強まる】

台湾総統選挙は1月14日、投開票が行われ、国民党の馬英九総統が、親民党の宋楚瑜主席を抑え、再選されました。

今回の選挙の最大の争点は対中関係でしたが、中国寄りの政策をとる馬氏は、今後も難しい舵取りが求められます。

馬氏は、中台それぞれが「一つの中国」を独自に解釈するという「1992年合意」を維持し、中国と緊密な関係を築く姿勢です。

そのため、中国との安定的な経済環境を望む大企業などから支持を集めました。

一方、対抗馬の蔡氏は、「台湾はすでに主権独立国家」と主張し、主な支持層は台湾南部が中心で農業漁業関係者、労働者が多く、格差是正を訴えました。

この2氏の他に、第三の候補である、かつて国民党の大物だった宋氏が、国民党支持者の票をどれだけ奪うか注目を集めましたが、票は伸び悩みました。

今回の選挙は馬氏と蔡氏による接線でしたが、台湾国民は現在の中国との強まりつつある経済関係を背景に、安定した中台関係を望んだようです。

しかし、当選した馬氏の政策では、中国経済との連携が強まる一方で、台湾の属国化の危険性が高まります。

中国は台湾の獲得を当面の目標の一つとしていますが、孫氏の兵法の国である中国は、軍事的に戦わずに、まずは経済面での中国依存の高まりを狙っています。

中国が、英国から返還された香港で一国二制度を維持しているのは、台湾を併合した際のモデルとして示している面があります。よって、再選した馬氏は、一党独裁国家である中国の影響が強まる中で、台湾の主権をどう維持するのかが課題となります。

もしも、台湾が中国に併合されるような事態となれば、日本のシーレーンは中国軍の影響をもろに受けます。

従って、今後も中台関係には目を離せませんが、日本も、東アジアの安定のために、国力を強めなければいけませんし、民主党政権のもとグラついた日米安保も強固なものとする必要があります。

日米安保が、東アジアの自由主義・民主主義国家にとっての共通財産であることは、それらの国々の共通認識になっています。