「企業の目的は顧客の創造である」とはドラッガーの言葉ですが、デフレ環境下における顧客創造を目指して流通業は死に物狂いで戦っています。その姿に誠に厳しい風圧を感じます。
デフレ環境下で海外の顧客を必死になって開拓している一次産業は放射能による風評被害という思わぬ敵の登場に苦しんでいます。
民間が厳しい環境に置かれている中で報道された、通産省の大物官僚のインサイダー取引は、ただただあきれるばかりです。マスコミがたたくのも道理だと思います。
ここで、マスコミが追求する利潤動機について、掘り下げて考えてみたいと思います。
利益はそもそも顧客を創造した結果得られるものです。そして利益があればこそ企業は不況期のリストラ圧力に耐えたり、次の顧客創造のためのコストとして生かすことができます。これを「継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)」と言います。
政治や役所にとって人口増加を顧客の創造に置き換えてもよいかもしれませんが、そうではなく予算の達成を絶対の目標と勘違いしています。
これは世界共通の現象なので、ドラッガーは公的機関こそ成果に集中しなければならないとその著書で主張しています。(マネジメント)
ですので、守るべき原則は「現在行っていることは永遠に続けるべきものである」ではなく「現在行っていることは近いうちに廃棄すべきものである」と主張しています。
予算が余ることは利益のようなものであるから悪であると考えているとしたら分かりやすい気がします。
不要になった規制を止めないことや、650兆円もある資産の売却を考えようともしないことも、それが民間で言うところの利益につながる発想だからと考えると、なんだか繋がってくるように思えませんか?
予算を余らせることは未来の顧客である国民への貢献なのです。
貢献こそ政治が考えなければいけない成果です。
野田首相は、何をおいても先ず、予算を減らすことを宣言しなければならないのではないでしょうか。
予算のリストラはうやむやにして、社会保障と税の一体改革と銘打った増税を実現したいようですが、そのうち顧客である国民が逃げ出してしまいます!