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2012/01/14【米大統領選に見る、信仰心の大切さ】

1月10日、米大統領選に向けた共和党の公認争いは、ニューハンプシャー州で党員による予備選挙が行われ、前マサチューセッツ州知事のロムニー氏が勝利しました。これで、ロムニー氏はアイオワ州に続いて2連勝となり、今後の公認争いを有利に進めることができると見られています。

今回の予備選では、各候補ともに自身の宗教性アピール合戦が盛んです。昨年12月29日付のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙より各候補を見てみると、ロムニー氏の選挙広告には「子供のころから教会に通い続けている」という記載があります。テキサス州知事のペリー氏のCMでは、演説シーンの背景にステンドグラスと十字架が映っています。産婦人科医出身の下院議員のポール氏のCMでは、彼の元患者が「本物の信仰があるクリスチャンなら、正しい道を歩んでいけます。ロン・ポールこそそういう人です」と話しているシーンを映しています。また、ギングリッチ氏のパンフレットでは最初に目に入るのがクリスマスのあいさつで、馬小屋のイエス・キリスト生誕の絵が描かれています。ペリー氏の広告では、オバマ政権が公の場における信仰表明に反対していると感じているクリスチャン層にアピールするために、「ゲイが公然と兵役に就けるのに、子供たちが学校で公然とクリスマスを祝ったり祈ったりできないなら、この国は何かがおかしい」と訴えています。

各候補共に、自らが良きクリスチャンであることを前面に打ち出しています。政治家が宗教性を前面に打ち出すことに違和感を覚える日本人は少なくないと思いますが、唯物論のマルクス主義の国を除いて、世界では無神論者は信用されない傾向にあるのです。

英国の調査会社が昨年4月に世界24カ国で行った信仰に関する意識調査で、日本では67%の人が「宗教を信じていない」と回答しています。世界の常識から言えば、これらの人は無神論者に分類されます。

日本は、戦後の唯物教育のために、信仰が表の社会から取り除かれてしまいました。しかし、世界的に見ても、信仰心を持っていることは、何ら恥かしむことではありません。

政治家にこそ、信仰心は重要です。唯物論者が奉じる「政教分離」も、政治家が信仰心を胸に政治にあたってはならないという意味ではありません。「政教分離」の意味は、戦前の反省に立って、政治が特定の宗教を弾圧しないためのものです。正しい信仰は、人を傷つけたり、嘘をついたり、物を盗むといった行為を戒めると共に、人間を謙虚になさしめ、努力や精進へ導き、自らを高めようとする努力を促します。日本人は戦後の無神論・無宗教の風潮を克服する時期にきています。