【米大統領選、社会主義思想がにじみ出るオバマ大統領】
◇1月3日、米大統領選に向けた共和党の公認争いは、アイオワ州で党員による予備選挙が行われました。アイオワ州は小さな州ですが、公認争いのトップを切って行われるため、アイオワ州での勝利はその後の公認争いに大きく影響します。
この投票の結果、前マサチューセッツ州知事のロムニー氏が、わずか8票差で元上院議員のサントラム氏を破りました(※)。ロムニー氏は共和党の中では穏健派と見られており、保守派の追い風を受けて健闘したサントラム氏と3位のポール氏でしたが、資金力と組織力で継戦能力に優れたロムニー陣営に一歩譲った形です。ロムニー氏は、次のニューハンプシャー州では、圧倒的な支持を集めており連勝が予想されます。
しかし、「オバマに勝てる候補」としてロムニー氏が支持を固める一方で、保守派の中には同氏に不満を持つ人々もおり、本選で勝てそうな候補と保守派の声の代表と、どちらを選ぶかという問題は今後も続きそうです。
◇一方のオバマ大統領ですが、格差問題を利用して支持を広げようとしています。昨年12月に行った演説でオバマ大統領は「一部の人のすさまじい強欲」が金融危機を引き起こしたとの認識を示し、一部の儲け過ぎによって中流階級の生活が圧迫されていると訴えました。また、オバマ大統領は、富裕層への課税強化なども訴えていることからも、野田首相同様に社会主義的な思想が表れています。富裕層に責任転嫁して自らの経済政策の失敗から逃れようとする選挙戦術は、オバマ大統領が再選したとしても、その後の米国経済の行方に懸念が生じます。
米国大統領選挙の焦点は、オバマ大統領が再選されるか否かです。オバマ大統領の支持率の低迷からも、再選が難しいとの声もありますが、対する共和党も候補者選びで混迷が続いています。共和党の候補者の中には、財政再建に伴う軍事費削減が迫られる中、沖縄の普天間飛行場の移設問題が契機となって、「在日米軍撤退」を掲げる人もおり、大統領選を通じて日米同盟のあり方がクローズアップされつつあります。日本にとっても、大統領選から目が離せません。
※:1月4日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120104-OYT1T00541.htm