1月2日、外国為替市場で一時1ユーロが98円71銭を付け、ユーロは対円で約11年ぶりの安値となりました(※)。
市場では、ユーロが買い戻される材料が見当たらないため、当面はユーロ安が続くものと見られています。
ギリシャ危機で一気に懸念が広がった欧州の債務危機に対して、有効な打開策が見つからないまま、ようやく昨年の12月に開かれたEUの首脳会議で決まった財政規律強化策も、一時的にユーロが上昇したものの、現在では市場からは効果が薄いと見られているようです。
この財政規律強化策は、ユーロ圏の財政政策を統合する動きですが、財政規律の強化だけでは、EUの再生は望み薄です。なぜならば、債務を返済する場合、「無駄な出費を抑える」だけでは不十分だからです。債務の返済には、この他に「収入を増やす」ことと「収入の使い方を改める」ことも同時に議論しなければなりません。
「収入を増やす」ことに関しては、経済成長の新たなビジョン構築が必要ですし、「収入の使い方を改める」ことに関しては、ギリシャのように過剰な社会保障などを見直す必要がります。
こうしたことは、未来への投資にあたるので、財政規律を強化する動きとは矛盾する部分があります。
従って、その見極めが大切であり、政治家の指導力が問われます。
しかし、そもそも、言葉も文化も経済規模も異なる国々が、一つの経済政策で運営してうまくいくはずはありません。
大川隆法幸福実現党名誉総裁が20年前に指摘した「EC(現EU)の崩壊」(※2)が現実化し始めているようです。
翻って、今の日本も、欧州の財政再建策と重なる部分があるのでたいへん憂慮されます。
その上、野田政権は増税を行おうとしています。
経済成長なき増税路線で突き進む野田政権の「社会保障と税に一体改革」は、増税の連鎖を招き、日本経済を悪化させるものです。
今必要なのは、増税や財政規律の強化ではなく財政出動です。
「投資をしてリターンを受けてこそ収益は改善される」という基本的な経済原理を実践できる経営能力を持った人材が野田政権には欠如しています。
※1:1月2日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120102-OYT1T00370.htm
※2:「理想国家日本の条件」1992年大川隆法著