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2011/12/26【成果の乏しい野田首相の訪中】

訪中した野田首相は、12月25日に温首相と、同26日には胡主席とそれぞれ会談しました。今回の訪中は、もともと12月12日、13日に予定されていたものですが、中国側の一方的な都合で直前になって延期されていたものです。さて、今回の野田首相の訪中は、どのような成果があったのか振り返ってみます。

①まず、それぞれの会談で、「北朝鮮問題」について、胡主席、温首相ともに「朝鮮半島の安定化」では一致したものの、北朝鮮への働きかけを強めるよう要請した野田首相に対し、温首相は日本を含む関係国に「冷静になるよう」対応を促し、この問題で日本と中国の温度差が浮き彫りになりました。

②また、「拉致問題」については、胡主席、温首相ともに踏み込んだ発言は無く、日本側の協力要請に対して中国側は、従来からの「日朝間の問題」との立場を崩さず、「対話と協力による問題解決」を訴えるなど、日本との温度差が一層浮き彫りになりました。

③「東シナ海のガス田開発問題」や中国の「日本産食品の輸入規制の緩和」についても、進展は見られませんでした。

④一方で、野田首相は、最大100億ドル相当とみられる中国国債の購入を表明しましたが、デフレ不況や震災で喘ぐ日本国民から増税しておきながら、GDPが世界第2位の国に支援を行うとは、中国のご機嫌取りにも程があります。

⑤唯一、パンダの貸与の合意は、成果と見る向きもありますが、その癒し効果や経済効果の一方で、パンダ外交は中国の常套手段であり、貸与に伴う数億円の費用は復興へ回すべきではないかとの声もあります。

日中首脳会談での成果を自慢げに語る野田首相ですが、以上のように、今回の訪中は中国側にプラスの多いものばかりです。野田首相は、中国側にいいように利用されただけのように見えます。

日本の安全保障を脅かす中国の急速で不透明な軍拡についても、野田首相は釘を刺すことすら行っていません。野田首相のこうした外交手腕では、「日本国民の生命、財産、安全」を守ることは期待できません。