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2011/12/26【国有化された東電の料金値上げは“増税”あたる】

政府は、原子力損害賠償支援機構を通じて東京電力の株式を3分の2以上取得して、事実上国有化する方向で調整に入ったと各紙が報じています。その前提として、「原発の再稼働」と「電力料金の値上げ」が焦点となっているとのことです(※)。

年内には国内の原発の90%が停止し、再稼働が無ければ来年5月には全て原発が停止してしまうため、政府は対策として火力発電の出力増と企業の自家発電活用を考えています。

しかし、化石燃料の高騰により、このままでは東京電力に限らず全国的に電気料金が値上がりし、企業の「国外脱出」が本格化してしまいます。よって、「原発の再稼働」については、速やかに行う必要があります。

一方で、「電力料金の値上げ」については、問題があります。前述の産業の空洞化を助長することもありますが、実質的に国有企業となった東京電力による電気料金の値上げは、形を変えた「増税」に他ならないからです。

国民の生活に配慮して「値上げをしない」ことを前提に国有化するのであればわかりますが、ただでさえ、復興増税だけでなく、消費税や所得税の増税をもくろむ野田政権にあって、さらに電気料金を上げるというのは、やり過ぎです。

しかも、今回、政府は支援機構を通じて東京電力に1兆円を出資し、それを賠償金の支払いに使うとのことですが、そもそも東京電力が賠償する必要があるかどうかの議論が尽くされていません。

東京電力の経営については、株主や金融機関の責任を問う声もありますが、これも同じはないでしょうか。

原発推進は国策であり、福島原発が事故を起こした原因は、千年に一度といわれる地震により起こった「大津波」です。従って、原子力賠償法を文字通りに読めば、今回の事故の賠償責任は、国ということになります。こうした議論が全く不十分なままです。

さらに、放射能被害と言っても死者が出たわけではなく、ほとんどがマスコミによる風評被害、つまり報道被害によるものではないでしょうか。

よって、責任の全てを東京電力に押し付けるのではなく、東京電力も被害者であるという視点での議論が必要です。そして、あらゆる増税に邁進する野田政権は、国民の苦しみに無頓着であることは明らかです。野田政権は、即刻、退陣し解散総選挙を行うべきです。

※:12月23日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/enterprises/manda/20111223-OYT8T00309.htm