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2012/12/22【北朝鮮の軍事的挑発に備えよ】

12月19日の金正日総書記の死去報道後、北朝鮮国内で後継者とされる金正恩氏の偶像化が進んでいます。このまま政権移行がうまくいくのか、それとも政権移行で混乱が生じるのか、世界中が注目しています。

既に、中国は、21日の時点で早々と中国共産党政治局常務委員会メンバー9人全員が北朝鮮大使館を弔問に訪れ、胡錦濤主席が金正恩氏への支援を表明しました(※)。金正恩氏は、とりあえず、北朝鮮の最大の後ろ盾である中国から支持を取り付けた格好ですが、金正恩氏は公の場に登場してから日が浅いため、国民的な尊敬を十分に得られはいません。従って、数カ月以内に、ミサイル発射などの軍事的挑発や核開発の加速によって朝鮮人民軍などの支持を取り付ける行動に出る可能性もあります。また、後見人とされる張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長は、葬儀名簿での序列が19位と高くないため、後見体制はまだ不透明です。

こうしたことから、政権移行で混乱する可能性も捨てきれません。例えば、経済開放派と保守強硬派との間で路線対立による権力闘争が起こることが考えられます。前出の張成沢氏は経済開放派とされ、軍部の金永春(キム・ヨンチュン)人民武力部長は保守強硬派の筆頭とされます。スイス留学経験のある金正恩氏は、やや開放派に近いとされ、この対立関係から、軍部による金正恩氏の追放や暗殺も考えられます。

いずれにせよ、政権移行で混乱した場合、米軍は行動を起こす準備をしている模様です。今年2月の米韓合同軍事演習でも、金正日死去を想定した訓練が行われ、米韓両軍が難民を救出すると同時に、大量破壊兵器を確保するというシナリオが含まれていたといいます。朝鮮半島の統一を考える際、中国は共産党によるいわゆる赤化統一を図りたいとされる一方で、米韓両国は、韓国主導での北朝鮮の吸収統一を前提に具体的な検討が始まっているとされます。

こうした周辺国の動きとは異なり、日本の備えはあまりに心もとない状況です。20日以降の野田首相のスケジュールは当初からの予定通りとなっており、北朝鮮の動向に対して危機感があまり感じられません。これは、他の多くの国会議員にも言えることであり、北朝鮮の軍事挑発の危険性が取りざたされる中で、日本の政治家の危機感の欠如は問題です。「憲法9条があるから日本は平和だ」との考えは幻想にすぎないことに気付かねばなりません。

※:12月21日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/111221/kor11122114430015-n1.htm