直近の新聞各社の世論調査では、消費税増税について、「反対」が「賛成」を上回っているという結果が出ています。しかし、消費税増税に邁進する野田首相は、考えを改める様子がありません。これに加えて、野田政権以上に消費税増税の必要性を主張するマスコミが目に付きます。
12月13日付の読売新聞の社説(※1)では「消費税引き上げ 財政再建は先送りできない」と題して、「社会保障は危機的だ」「公的な財政負担も限界にきている。」「(国の社会保障費の支出は)毎年1兆円ずつ増え続けている」「消費税率1%で約2.4兆円の増収になり、国民が広く薄く負担を分かち合うことができる」「欧州財政危機では、放漫財政のギリシャの信認が低下した。これを『他山の石』として、厳しい現実を直視し、必要な負担を国民に求めることこそが政治の責務だ。」などと主張しています。
しかし、このブログでも述べたように、経済を拡幅させることなく、毎年1兆円ずつ社会保障費が増えていくのであれば、消費税率は際限なく上がっていくのが目に見えています。しかも、税率を上げれば、消費者の購買力は削がれるので、「税率に比例して税収も上がる」ということにはなりません。ギリシャの財政危機にしても、確かに過大な社会保障費が一因になっていますが、これは外国からの借金により不相応な年金を支給していたのであり、国債の9割以上が国内で買われている日本とは状況が異なります。
また、朝日新聞も、政府が12月4日に全国紙と地方紙すべてに「すべての国民の皆さまへ 社会保障と税の一体化について」と題して、日本の社会保障制度を維持するために消費税が必要だとする全面広告を掲載した翌日に、「社会保障と税の改革―消費増税は避けられない」と題する社説を掲載しました。
その中で、「社会保障費は毎年1兆円ほど膨らんでいく。制度が破綻しないよう、見直していかねばならない。社会保障費をまかなう税には、すべての世代が負担し、税収も安定している消費税がふさわしい。野田首相は『私が先頭に立って政府・与党内の議論を引っ張る』と強調した。不退転の決意で取り組んでほしい」などと主張し、見事に政府の主張と一致している内容でした。
このように、なぜ、これらのマスコミは、政府の消費税増税を後押ししているのでしょうか。それは、増税反対の世論が高まる中で、焦燥感を強める財務省が必死の裏工作を行っており、政府広報が大きな収入源である新聞社がそれに乗っているからとの指摘があります(※2)。しかも、新聞各紙は「増税やむなし」と扇動する一方で、裏では日本新聞協会を通して、消費税の「軽減税率の適用」を政府に求めています。これは、政府との裏取引ともいえるものです。消費税増税を主張する新聞社は、率先して新聞に課税すべきです。
こうした、政府、官僚、マスコミが一体となった構造は、「国家社会主義」ともいえるものではないでしょうか。社会主義によってもたらされる平等は、貧しさの平等です。国難とも言える試みには断固として反対する必要があります。
※1:http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111212-OYT1T01058.htm
※2:夕刊フジのWEBニュースサイトZAKZAK http://p.tl/OYH6