中国のチベット自治区で12月1日、チベット仏教僧侶が焼身自殺を図りました(※)。
中国で焼身自殺を図ったチベットの僧侶は今年に入って12人目とのことです。
いずれも、中国当局によるチベットに対する締め付けへの抗議の可能性が高いとのことです。
彼らはなぜ、命がけで中国に対して抗議するのでしょうか。
チベット生まれで桐蔭横浜大学大学院教授のペマ・ギャルポ氏の話(ザ・リバティ3月号)でチベットの歴史を少し紐解いてみます。
「平和な独立を保っていたチベットの状況が一変したのは、1949年に、中華人民共和国が成立して以降のことです。チベットでは仏教が尊ばれ、政治、経済、文化などあらゆる分野に強い影響力を持っています。そこに目をつけた中国は『キリスト教とそれに伴う帝国主義者から仏教を守る』と言って無理やりチベットに侵攻し、途中から『封建社会から人民を解放する』と言い方を変えて、地主や貴族などをやり玉に挙げて民衆の嫉妬や憎悪をあおり、次々と処刑していきました。そして、最終的にはダライ・ラマ法王を頂点とする僧侶たちを標的とし、『宗教はアヘンである』として、お寺の9割を破壊し、僧侶の9割以上が殺害または強制的に還俗や国外逃亡を余儀なくされました。国際司法委員会も中国を告発していますが、1950年から1984年までに虐殺で亡くなったチベット人の数は120万人を超えると言われています。現在、チベット自治区では、基本的人権はもちろん、思想、言論、出版、結社などあらゆる自由がありません。」
このように、中国に侵略された民族は悲惨です。
]チベットでは、国が亡ぶとともに、自らの文化も奪われたままです。
中国民族問題研究会代表の殿岡昭郎氏は「チベットは、ダライ・ラマ13世が、近代的な官僚機構や軍隊の整備、国際連盟への加入などを目指しましたが、既成勢力である貴族や僧侶が反対した。
連盟に加入して国家として広く認知されていたら、人民解放軍の侵入はなかったかもしれません。」と述べています。
翻って日本を見てみると、前沖縄防衛局長や一川防衛大臣の発言などの影響もあり、沖縄県内では一段と米軍基地の県外移設の機運が高まっています。
民主党政権の不誠実な態度は極めて問題ですし、沖縄県民皆さんの今までの御苦労も察するに余りありますが、沖縄を取り巻く安全保障上の国際情勢も楽観できる状態にはありません。
強力な抑止力である米海兵隊を沖縄から遠ざけることは、将来的にどのような危険を招く可能性があるのかを、予断を捨てて客観的に検討する必要があります。
※:12月2日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/111202/chn11120221360003-n1.htm