11月28日に、参議院でも憲法審査会が初の審査を行い、各党の意見表明が行われました。そして、12月1日には、衆議院の憲法審査会で、憲法改正手続きを定めた憲法96条の改正などをテーマに自由討議が行われました。
憲法審査会は、安倍政権時の2007年5月に国民投票法の成立を受けて、憲法についての総合的な調査を行う「憲法調査会」と、国民投票法を審議する「憲法調査特別委員会」の2つの機関が統合され、その年の8月に設置されたものです。
しかし、民主党が委員名簿の提出に応じなかったため、憲法審査会の設置から4年もの間、国家の根幹となる憲法改正の審査が行われず、11月17日に初めて衆議院で憲法審査会が開かれたものです。民主党が委員名簿の提出に応じなかった背景には、党内の改憲派と護憲派との対立で原案をまとめられなかったことがあげられます。今回、民主党が憲法審査会の名簿提出に応じたのは、ねじれ国会の審議を円滑に行うための材料にしたいがためです。
このような状況では、民主党は、具体的な憲法改正論議に消極的であることは明らかです。憲法審査会での審査を、「とりあえずやっている」といった具合に、形だけ行っている姿勢を見せるだけにとどまることが懸念されます。
戦後60年が経ち、機能しない国会や厳しさを増す国際情勢などを踏まえると、日本国憲法には様々な弊害が生じています。実際、今年9月の読売新聞社の全国世論調査では、憲法を「改正する方がよい」と答えた人は43%、憲法改正の議論を望む人は計72%となっており、多くの国民が改憲論議を求めていることが明らかです。
例えば、国防費を大幅削減していく米国との同盟のあり方をどうするのか、中国の覇権主義に対して防衛のあり方をどうしていくのか、という問題は日本の安全保障の根幹を問う重大事です。最終的には憲法9条を改正しなければ、この国を守り抜くことはできないことは明らかです。
憲法審査会が形式的には設置されても、事実上、機能していないのであれば、国会は「国民の生命・安全・財産を守る」という最重要の責務を果たしているとはいえません。政府は憲法審査会において、実質的で本質的な憲法改正論議をスタートすべきです。
※:12月1日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111201-OYT1T01055.htm