11月27日付の読売新聞によると、同26日、富山県内で男子中学生が自殺しているのが見つかり、その生徒はいじめを受けていると担任に訴えていたとのことです(※1)。
自殺の原因が何であるか、徹底した究明が求められます。
いじめられている本人にとって、いじめはたいへん苦しいものです。「言葉の暴力」や「からかい」などによるいじめの場合は、「それを受けた本人がどのように感じるか」ということについての差があるために難しい問題はありますが、もしも「人を殺す」「意図的にけがをさせる」など刑法に触れるような行為があったとすれば、大人として、絶対に許してはいけません。
16日には、滋賀県の中学校で、暴行を加えるなどした中学3年の3人が、強要と暴力行為法違反の疑いで逮捕されました(※2)。3人は被害生徒の背中を殴って服を脱がせた姿をカメラ付き携帯電話で撮影したり、事前に準備した汚物を担任の車に付けることを強要したりしたため、被害生徒の保護者が被害届けを提出しました。滋賀県警は、「いじめが長期にわたり悪質すぎ、対応する必要があった」として逮捕に踏み切った経緯を説明しています。
滋賀県のこの中学校の校長は会見で、「保護者から『からかわれやすいので心配をしている』『学習が不安になっている』との相談はあったが、いじめられているのでなんとかしてほしい、という訴えは把握していなかった」と述べました。しかし、警察によると保護者は春から数十回にわたって学校に相談し、「学校側にお願いしているが、いいかげんな対応しかしてくれない」と警察署員に訴えたといい、学校側の説明とは食い違っています。また、警察の調べに対し、逮捕された生徒3人は容疑を認めつつも、被害生徒への謝罪の言葉はないといいます。
えてしてこういったケースでは、学校側は事なかれ主義に徹し、いじめられている本人にとって頼りにならないことが往々にしてあります。今回の滋賀県のケースでも、半年以上にわたる過酷ないじめを、学校側が気づかなかったとは思えません。本当に気づかなかったとしたら、生徒の身の安全や学習環境を守るという責務を全く果たしていないことになります。
学校や教育委員会の隠蔽体質や、加害者たちに謝罪や反省の心が見られないことは、日本の学校での「いじめ対策」に、まだまだ大きな課題が存在することを示しています。先日、いじめ撲滅のNPO財団設立を設立した米国の人気歌手レディー・ガガさんも、「いじめは犯罪、違法にすべき」と主張しています。刑法に触れるような犯罪レベルのいじめには、今回の滋賀県警のように厳正に対処すべきです。
※1:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111127-OYT1T00565.htm?from=main8
※2:11月17日付朝日新聞http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201111170008.html