先週のこのブログで、イタリアで財政再建が期待される新政権が発足したにもかかわらず、イタリアの長期国債の利回りは危険水域と言われる7%を上回ってしまったことをお伝えしました。
この余波を受ける格好で、今度はスペインの国債の利回りが上昇し、7%に迫る勢いです。
スペインでは11月20日に総選挙が行われおり、7年ぶりに政権交代がおこると見られています。
そうなれば、ギリシャ、イタリアに続いての政権交代になります。
これらの国々の長期金利の上昇は、見方を変えれば、単にユーロ導入前の水準に戻ろうとしているように見えます。
そもそもは、イタリアも10%を超えていましたし、ギリシャも20%を超えていたのです。つまり、実勢に近づいているだけなのかもしれません。
一方で、日本国債は、先週末の国債市場で10年ものが0.94%に低下しています。
イタリアやスペインなどユーロ圏の国債利回りが上昇している流れを受けて、資金が日本に流入しているのです。
日本の国債は、大震災が起きたにもかかわらず、大震災後も金利は上昇することなく下降傾向にあります。
ちなみに、米国の国債金利でさえ1.96%と日本よりも高い値です。
わずか1%程度の利回りでも資金が集まるわけですから、いかに日本国債が人気かが分かります。
急速な円高や復興の遅れ、電力不安など課題が多い日本ですが、財務省などの増税容認派が喧伝する「日本の財政は危機的」という言葉とは裏腹に、市場からは欧州各国に比べれば「はるかに安定している」と見なされているわけです。
この資金調達力の高さをどう生かすかを考えるのが政治の役割なのですが、民主党政権では具体的な提案がありません。
しかし、復興財源として国債を発行することはもちろん、調達した資金で、リニア新幹線や航空宇宙産業の育成など大胆な未来投資に回すべきであるとかねてから訴えてきました。
その投資先が魅力的であれば、さらに国債は買われていきます。そういう好循環を起こして、不況脱出を図るべきです。