11月
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20111120【TPP参加国で海洋問題への共通規範の導入を】

TPP参加議論や今回のASEAN首脳会議での広域自由貿易圏の構築議論などを契機に、ますますアジア地域の貿易が活発化しようとしています。

そんな中、11月18日付読売新聞に以下のような記事がありました。

【以下引用】

南シナ海問題で中国、米国などの関与に拒否姿勢

中国の温家宝首相は18日、東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議で、南シナ海問題について、「直接関係ある国が友好的な対話を通じて解決すべきだ。いかなる口実であれ、外部の勢力が介入すべきではない」と述べ、米国などの関与を拒否する姿勢を明確に打ち出した。

温首相はその上で、漁業監視や資源調査など関係各国の同海での活動を法的に拘束するため、ASEANが求めている「行動規範」について、「制定に向けた議論に着手したい」と歩み寄りの姿勢を示した。30億元(約360億円)の海上協力基金の創設なども提案した。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20111118-OYT1T01130.htm

【引用以上】

南シナ海の領有権問題は「当事者同士の話し合い」で解決するならもっともとの見方があるかもしれませんが、当事者同士の話し合いが成立するのは、お互いの力が互角の場合か、お互いのことを尊重している場合だけです。

中国は、大きな経済力と軍事力を背景に、二国間交渉を自国に優位に進めたいとの思惑があります。

一方の当事者のASEANの国々は、中国に比べて経済規模も軍事力も小さいので、多国間で連携して交渉するか、有力な第三国に支援を求めることは当然です。

実際、日本に対するASEAN諸国の期待は大きいのですが、現在の民主党政権は、日本の国防さえ論ずる気概が無い有様なので、とても他国の安全保障まで関与する考えはありません。

しかし、南シナ海は日本のエネルギー保障上重要なシーレーンであるばかりでなく、TPPやASEAN諸国の自由貿易を確保する上で重要な地域です。

これらの国々で自由貿易が活発に行われるためには、自由な海上交通が保障されていることが前提になりますが、現在この地域の「公海」や「排他的経済水域」で恣意的な妨害を行っているのが中国なのです。

日本は、自国だけの平和に浸ることなく、自国の発展と繁栄を守るために、世界情勢の構図をいち早く理解し、日米同盟を基軸としつつ、中国の覇権主義に備えていく必要があります。

まずは、TPP参加を表明している、米国、日本、ベトナム、フィリピン、シンガポールの五か国間で、海洋問題に対処する上での共通の規範・法の導入を進めることで、中国の恣意的な妨害に対抗していくべきだと考えます。