衆院決算行政監視委員会の小委員会で、11月16日と17日の二日間、国会版「事業仕分け」を行いました。
事業仕分けと言えば、2009年の民主党政権の事業仕分けで、スパコン関連事業について、仕分け人の蓮舫議員が「2位じゃダメなんですか」と発言して物議を醸しだしましたが、今回の事業仕分けでも、次世代スパコン「京」の開発・整備費は、「予算縮減」とする意見が多数を占めました(※:11月17日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20111116-OYT8T00784.htm?from=popin)。
このスパコン事業を巡っては、天下りの職員の高額な給与や、予算使途の説明が不十分との指摘もあり、今回の「予算縮減」もその意味では理解できない訳ではありません。
しかし、国を挙げてこうした世界最先端技術の開発に力を入れることには大きな意味があり、開発費そのものを削減してはなりません。
次世代スパコン「京」は、14日に発表された世界各国のスパコン性能ランキングで、今年6月に続いて2期連続で1位となりました(更に、16日には、スパコンの総合的な性能を評価する「HPCチャレンジ賞」の4部門全てでも1位を獲得しています)。
この偉業に次世代スパコン「京」のプロジェクトの関係者は、件の蓮舫議員の発言がバネになったと語っています。
そして、早速、富士通は11月14日、東京大学情報基盤センターの新たなスパコンとして、商用スパコン「PRIMEHPC FX10」が採用されたと発表しました。
「PRIMEHPC FX10」は、次世代スパコン「京」の技術を応用した製品です。
スパコンなど科学技術が「1位でないと意味がない」理由はここにあります。
日本のユーザーだから日本の技術を採用したとも言えるかもしれませんが、もし、今回、別の国のスパコンが1位であったなら、その国のスパコン技術が採用された可能もあるわけです。
次世代スパコン「京」の性能がダントツの1位に輝いたことで、世界から注目され、採用される際に優位に立てます。それが「2位ではダメな理由」なのです。
次世代スパコン「京」の開発では、日本の技術者の優秀さが証明されたわけですが、このように優秀な技術者の育成と、それによって開発された技術は、日本のみならず世界を発展繁栄させます。
その技術によって生み出された未来産業は、また多くの雇用も生むのです。
しかし、民主党をはじめ、事業仕分けの欠陥は、「浪費」と「投資」の違いが全く分かっていないことにあります。
先の民主党による事業仕分けにおいて、実際に削減された予算はわずかです。これならば、会計検査院の仕事と変わりありません。
3月の福島での原発事故でも、「脱原発」「反原発」に向かうのではなく、事故を教訓に「世界一安全な原発を作る」ということが世界の発展繁栄に資する方向です。
経済規模を縮小させて、私たちの生活をつつましく「昔帰り」させるのではなく、「今まで以上の繁栄を取り戻す!」という決意と覚悟で、日本は科学立国として更に高い境地を切り拓いていくべきです。
まずは、バラマキ予算を削って、より一層の科学技術投資を推し進め、未来産業創出を目指すべきです。