11月8日付日本経済新聞によると、厚労省が9日に公表する予定の7月時点の生活保護受給者数は6月時点の204万1592人から約1万人増え、戦後の混乱の余波で過去最多だった1951年度の204万6646人(月平均)を超える205万人前後になる見通し、とのことです。
この増加の背景として、高齢化と不況の影響が上げられます。
もともとの生活保護の目的は、「健康で文化的な最低限度の生活を具体化すること」と「支援の間に職探しや職業訓練に専念してもらい自立を促すこと」なのですが、マスコミが「年越し派遣村」を大々的に報じて「格差社会」を喧伝するようになった頃から、「十分働けそうな人が申請に訪れても、断りにくくなった」(東京都区部の生活保護担当者)という話もあります。
最低賃金で1か月働いても生活保護費よりも安い場合があることも問題ですし、国民年金(老齢基礎年金)の場合も、年金のみであれば生活扶助費と住宅扶助費を含めた生活保護費よりも少ないことも問題です。
これだけ生活保護が手厚ければ、働けるとしても働かずに生活保護を受け続ける人が増え、「年金保険料は払わず、いざとなれば生活保護に逃げ込めばいい」と考える人が増えるのも頷けます。
「格差是正」と称して自由競争の結果である財を再配分しようとすると、政府による強力な統制・介入が不可避となり、自由の危機が訪れてしまいす。
それは「貧しさの平等」への道です。
従って、今政治がやるべきことは、「景気回復による雇用の拡大」と「生活保護を最低限のセーフティネットに切り替えて不公平感をなくすこと」ではないでしょうか。
対象者によってケースバイケースでみなければなりませんが、不公平感のあるような現状を放置して「社会保障費としての増税」を実施すれば、景気の低迷と相まって「税金を払わず、税金をもらう人」を更に増やすことになります。
※:http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E2EAE2E2858DE2EAE3E3E0E2E3E39180E2E2E2E2