政府は11月1日、今冬の電力需給見通しとして、関西電力管内で来年2月に9.5%、九州電力管内で来年1月に2.2%それぞれ不足するとし、関西電力管内では昨冬比で10%以上、九州電力管内では同じく5%以上の節電を要請しました(※)。
期間は、12月19日以降の平日が対象で、関西電力管内が来年3月23日、九州電力管内が同じく2月3日までとのことです。
震災直後は、地震や原発事故の影響で東日本が電力供給危機に見舞われましたが、震災から半年以上たって、関西と九州で電力供給危機が懸念されるようになり、何とも解せない状況です。
この節電要請に伴い資源エネルギー庁は、家庭向けの冬の節電メニューとして、エアコンの設定温度を20度に、窓には厚手のカーテンを、冷蔵庫に食品を詰め込まないように、炊飯器は早朝にタイマー機能で1日分をまとめて炊く、炊飯器は保温機能を使用せずによく冷ましてから冷蔵庫に保存するなどと、お節介とまで思えるような発表をしています。
確かに節電の意識は大切だと思いますが、ますます気分が暗くなるような内容です。
こうした電力の供給不安を招いたのは、民主党政権の失策によるものです。
今年5月に当時の菅首相が、運転再開の目途が立っていた中部電力浜岡原発を、法的根拠なく思い付きで運転停止にし、国民に原発の不安を植え付けました。
更に、7月上旬に九州電力玄海原発は定期点検を終えて運転の再開を検討していましたが、急遽、屁理屈ともいえる「ストレステスト」の実施を求めて再稼働を阻みました。
その結果、定期点検を終えた各地の原発は再稼働できないために、電力供給危機を招いているのです。
この夏は、過度の節電により多くの人が熱射病などで健康被害を受けました。
こうした被害は、民主党政権による「人災」ともいえるものです。
福島第一原発の事故による放射能の影響で死者が出ていないにもかかわらず、原発再稼働が拒まれたことによる電力不足で熱射病になって死者も出ています。
しかし、こうしたことはほとんど糾弾されていません。
このまま原発停止によって電力不足が深刻化すれば、過度の節電によって健康被害を受ける人が生じかねませんし、電気代の値上げ、企業の競争力低下、電力コスト高による企業の海外移転、国内空洞化、不況の深刻化なども懸念されます。
こうした危機を回避するために政府は、点検の済んだ原発を速やかに再稼働するように国民を説得する必要があります。
原発の再稼働を地元自治体の判断に委ねて、責任回避するようなことは許されません。
11月1日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866922/news/20111101-OYT1T00531.htm