◇先日のこのブログで、政府の現状の政策では日銀の円売り介入後も円高のトレンドが続く可能性が高いと述べました。
こうした円高の流れを受けて、大企業のみならず中小企業も海外へ進出する動きが強くなっており、自治体も条件付きでその動きを支援しています(※1)。
こうなると、円高が日本の産業の空洞化を招き、国内の雇用を守れなくなるとの懸念が現実化してきます。
※1:10月31日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819696E0EAE29D968DE1E2E3E2E0E2E3E39F9FEAE2E2E2
◇その一方では、「円高による商品価格の上昇により物が売れなくなる」というのはビジネスの一面でしかなく、「他に取って代わるものが無い商品は円高でも売れる」という側面もあります。
従って、円高環境下で日本が取るべき戦略は、高付加価値の新産業の構築が考えられます。
海外シフトで生じた失業者を新産業で吸収するというものです。
実際、「海外進出で国内雇用は増やせる」との分析があります(※2)。
生産拠点が海外に移れば、製造業の就業者数は減りますが、企業が生産拠点をグローバル展開するほど、本社機能は高度化し、その分、国内本社を支える業務が増えるからです。
※2:10月24日発売の週刊エコノミスト
◇ただ、こうした産業の大転換は、転職する個人のレベルでは今までのスキルが生かせないという、雇用のミスマッチが起きることが問題となります。
従って、「社会人の再教育」や「学習し続ける個人」が重要となり、政策的に、転職市場と社会人の再教育市場の整備が必要となります。
震災後に特に注目されている新エネルギー産業分野、日本が世界から立ち遅れていますが潜在能力が高い航空・宇宙産業分野、野菜工場や内陸での海水魚の養殖などの先端農業分野、更には、防衛産業やロボット産業やリニア新幹線など、日本の新たな産業として育っていく可能性のある分野はたくさんあります。
円高を悲観的に考えるのではなく、イノベーションの機会ととらえ、前向きに考えることが大切です。
そうすれば日本経済はまだまだ拡大することが可能です。
今の民主党政権には、こうした高い理想を国民に指し示す姿勢が欠けているのではないでしょうか。