10月31日、政府・日銀は8月に続いて今年3回目の円売り介入を実施し、円は一時79円台に戻しました。
報道によると、今回の介入規模は過去最大の4.5兆円とも言われ、更に政府は介入用に15兆円を用意しているとの話もあり、安住財務相の「納得いくまで介入する」との発言に繋がっています。
しかし、同日のロンドン市場では円は77円台まで上がり、早くも今回の日本単独による売り介入効果の限界が表れていますが、それもそのはずです。
なぜならば、安住財務相は「投機的な動きで円高になっている」と言っていますが、この円高の動きはドルやユーロに対して円が強いことを意味しているのです。
従って、円を取り巻く世界経済のファンダメンタルズが変わっている訳ではないので、日本単独による円売り介入ではその効果が短期的なものに終わってしまうのです。
一方で、急激な円高を是正するための方策として、為替介入の他に、金融緩和を行って円の供給を増やす方法があります。
日銀は同じく27日に金融政策決定会合を開き、国債などを買い入れる基金を5兆円積み増して55兆円程度にする追加的な金融緩和を行うことを決定しました。
しかし、この緩和が小出しに行われ、かつ、55兆円の「枠」は設定したのですがが、実際の買い入れは半分以下しかやっていないとの指摘があり、円高の是正にはつながっていません。
これでは、日銀に「本気で円高を止める」という気概が感じられません。
財務省が「復興財源は増税で」と言っているのに合わせて、日銀も国債を買入しているポーズだけとって、幸福実現党などが主張している「復興国債の日銀直接引き受け」を回避し、増税で協調しているのかもしれません。
しかも、日銀は他の取引で目立たないようにお金を吸収しているので、市中にお金の量が増えないわけです。行き過ぎたインフレファイターといった感があります。
急激な円高を止めるためには、「復興国債の日銀直接引き受け」など思い切った形で金融緩和を図る必要があります。
また、為替介入は、安いドルを大量に買い込んで、それを原資に米国債を買うということですが、為替介入用のその15兆円を、そのまま復興財源に充てれば、増税など不要であることを理解すべきです。