10月24日に、米国のパネッタ国防長官が来日しました。
同25日の野田首相や一川防衛相との会談では、日米が合意した普天間基地の辺野古への移設計画について、早期の具体的進展を示すよう要請するとのことです(※:10月24日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111024/plc11102420560009-n1.htm)。
しかし、この移設計画について地元沖縄の理解が得られているとは言えない状況です。
民主党は先の衆院選で「最低でも県外移設」と公約して政権を取りましたが、民主党政権発足後、当時の鳩山首相が「よく勉強したら県外移設は出来ない」として、自民党政権時代からの辺野古へ移設する案に逆戻りした経緯があります。
民主党政権は、辺野古移設でまとまりかけた沖縄県民を「県外移設」に煽っておきながら、辺野古移設を推進するのですから、沖縄県民及び国民に納得のいく説明をする責任があります。
しかし、実際には説得力のある説明を行っていません。
また、こうした沖縄県民の「県外移設」を求める声の背景には、マスコミによる影響もあります。
24日のNHKニュースでも、地元沖縄の記者が「今や、県内移設を容認する人はいない」旨を伝えて、辺野古への移設を容認する県民の声を封殺するかのような報道を行っています。
昨年行われた沖縄県知事選で、唯一県内移設を掲げて戦った幸福実現党の金城候補の得票は、宗教政党であることへのバイアスがかかっていながらも、1万3千票以上にものぼっていることからもわかるように、県内移設を容認する人は大勢います。
「県外移設」では、東アジアにおける軍事的な抑止力が低下することは明らかです。
「普天間基地の航空部隊だけを県外に移設しても、全体としての抑止力は低下しない」と主張する人もいますが、それは正しくはありません。
普天間基地の航空部隊は海兵隊員を運ぶための部隊であり、航空部隊だけが離れていては機能するはずはありません。
このままでは、人口密集地に隣接することに起因する普天間基地の危険性が固定化する恐れが高くなっています。
辺野古への移設は、沖縄県民の基地負担を軽減しつつ、アジアにおける抑止力を維持できる案です。
辺野古への移設は、嘉手納基地以南の基地のほとんど返還することがパッケージになっており、沖縄が日本に返還された1972年よりも多くの軍用地が返還される案なのです。
こうしたことは、意図的にほとんど報じられていません。
左翼勢力は、あえて普天間基地を固定化し、住民を巻き込む事故が起こるのを待っているとの指摘もあります。
こうした事故が起きれば、日米同盟に亀裂が生じるのは明らかだからです。
日米同盟の危機は、日本の安全保障に決定的な打撃を与えるのみならず、韓国台湾などのアジアの安全保障にも影響を及ぼします。
こうしたことから、野田政権は、早急に辺野古への移設を進める環境を整える責任があります。