ソマリア沖で頻発している海賊被害に対して、10月22日、政府はその海域を通る日本国籍の民間船に、武装した自衛官や海上保安官を乗船させる「武装ガード」の検討に入ったとのことです(※:10月22日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111022/plc11102201310000-n1.htm)。
既に、フランスやオランダなどは武装ガードを採用していますが、日本船籍については民間人が船内に武器を持ち込むことが認められていないため、日本船主協会や経団連は自衛官や海上保安官の乗船を政府に対して求めています。
反面、武装ガードの乗船は、海賊の重武装化を招き、民間船側の人的被害のリスクが高まるという懸念もありますが、少なくとも、自衛官や海上保安官が乗船して民間人を守るか否かについて、自国の判断で選択できるような法整備、または法解釈が必要です。
ソマリア沖の海賊対策については、既に自衛隊初の海外基地ともいえるジブチに拠点を設けて海上自衛隊が活動しており、諸外国からもその活動について高い評価を得ています。
更に、武器輸出3原則の緩和や南スーダンへのPKO派遣など、左翼色の強い民主党政権でこうした議論が持ち上がっているのは皮肉ですが、これは「もはや日本の一国平和主義は許されない」という国際社会からのメッセージとも言えます。
一方で、カダフィ大佐が死亡したリビアの情勢ですが、自由と民主主義をもたらす希望があると同時に、情勢次第によっては混乱が更に深まることも考えられます。
リビアの不安定要因として、部族など様々な政治勢力が存在していることや、新たなリーダーが不在であることや、経済の柱である石油生産の回復状況などがあります。
今回のリビアの内戦への介入を主導してきたヨーロッパは、カダフィ後の体制づくりの手助けをしようにも、欧州債務危機が足を引っ張り、対応が困難な状況にあります。
こうした時こそ、日本もリビアの国づくりを積極的に支援し、国際社会はが広範な支援を進めていくうえでの主導的な役割を示すべきではないでしょうか。
野田政権や与党民主党は、リビア情勢に関してはあまり関心が無いようですが、自由と民主主義、希望と繁栄に満ちた国家構築に、日本は寄与できる大きな能力があります。