報道などでは「放射能=危険」という論調が多いので、放射能に対する恐怖から疑心暗鬼になっている人も多いと思います。
こうした中で、放射線量を地域の住民など民間で調査し、放射線量が局所的に高い「ホットスポット」を発見する動きが活発になっています。
世田谷区の民家での放射線騒動や、柏市の地中から高濃度の放射性セシウムが見つかった事件は別として、各地で住民グループが放射線量を計測し、比較的高い値が計測された場合に自治体当局に告発するなどの活動が増えているようです。
この場合、計測された放射線量の値がどのくらいならば、周辺住民の健康に害を与えるのかということが焦点になります。
放射能の健康への影響を考える際に、よく用いられる考え方に「しきい値なし直線モデル」というものがあります。これは、放射線量の強さに比例して、癌など健康に与える害が大きくなるという考え方です。
しかし、オックスフォード大学のウェード・アリソン名誉教授によれば、「しきい値なし直線モデルはあまりに警戒過剰であり、危険性の示唆の多くは無視しうる」としています。
同教授によれば、「実験用ラットは7000ミリシーベルトの線量で50%が死亡したが、半分の3500ミリシーベルトだと死亡率は1%にも満たなかったしきい値なし直線モデルが成り立つなら25%になるはず」とのことです。
また、実際に「チェルノブイリ原発事故でも、しきい値なし直線モデルは成り立たなかった」とのことであり、「 統計から見る限り、健康に影響を与えるのは100ミリシーベルト超に限定される。100ミリシーベルト未満では、放射線の影響はゼロである(短時間の急性被曝の場合)」としています。
同教授によれば、月に100ミリシーベルトの放射線を浴びても安全だとしています。
しかも、この結論は同教授のオリジナルの主張というわけではなく、他にも多くの専門家から同様の多数の論文があります。
かの世田谷の民家での放射線騒動でも、その家に今年2月まで住んでいた92歳の女性は今も元気で、かつ3人の子供やその孫も皆健康だということです。
計測された放射線量から推測すると、その女性は年間30ミリシーベルト近く外部被曝していた計算になり、50年間住んでいたということから単純計算すると総被曝量は1500ミリシーベルトになります。
この騒動の真意のほどは今後の推移を見守りたいと思いますが、「放射線も大量に浴びれば害になるが、一定の用量や用法の範囲では体にいい刺激を与え、薬と同様に役立つ」という、ラジウム温泉やラドン温泉に見られる放射線の「ホルミシス効果」というものがあります。こうしたことも、事実として知っておくべきです。
国が計画的避難区域の基準とした20ミリシーベルトという数字もありますが、放射線についての国際基準が新しい研究に基づいておらず、厳しすぎると考えられます。
その結果、福島県などの住民の生活に無用な混乱や不安を招いているのであれば、早急にその基準を見直すべきですし、私たちも、年間数十シーベルト程度の被爆では過剰に心配する必要が無いことを認識しておきたいと思います。