北京オフィスビルの空室率50%に達しているとの報道など、いつ中国経済のバブル崩壊が起こるか分からない状態にあります。
中国政府は、バブル崩壊を懸命に否定していますが、その兆しは着実に強まっています。
中国問題評論家の石平(せきへい)氏は、「過去30年、中国の高度成長は通貨の過剰供給によって支えられてきた。その結果、今や中国では深刻なインフレ、物価の暴騰が起きている。これをこのまま放置することは出来ず、いずれ中国はインフレ対策として、金融引き締めに方向転換せざるを得ない。それによって引き起こされるのが、不動産バブルの崩壊。中国は社会的大混乱を避けられない」と指摘しています。
中国経済のバブル崩壊は、中国人民の不満や憤りを爆発させることになりますが、中国政府はその矛先を意図的に「反日運動」に転嫁させる可能性が十分考えられます。
実際に、これまでも人民の不満が政府に及ばないよう、人民の関心を「反日運動」に向けさせ、そのガス抜きを図ってきました。
既に民主党政権の弱腰外交は中国に見透かされており、日本との摩擦はリスクの少ない手段と考えられています。
今後、尖閣諸島などで反日感情に火をつけ、人民の不満を日本へ向けていく情報操作を行ってくることは容易に予想されます。
従って、中国に悪を犯させないために、日本は、外交力と国防力の双方を高めておく必要があります。
そうした意味で、日米安保は対中戦略上の基軸なのですが、10月7日付産経新聞によると、米国のリン国防副長官が5日ワシントンで「すでに決まっている国防予算の削減策が実施されると、陸軍や海兵隊など地上部隊の規模が最大の削減対象になる」と述べ、「海外駐留米軍の規模は確実に縮小される」と語りました。
軍拡路線を突き進む中国への牽制も怠れない中で、国内経済の立て直しのために国防費を削減しなければならない米国の厳しい状況があります。
日本は、そうした米国を支えつつ、中国の強権的な行動に対して、毅然とした態度で外交交渉を行うと共に、沖縄方面を中心に抑止力としての防衛力を強化する必要があります。
菅・仙谷ラインで示した弱腰外交を、野田政権が継承するようならば、日本の将来はありません。