9月26日、枝野経産相は、原子力損害賠償支援機構での挨拶で、東京電力の社員の給与について、「公務員か独立行政法人並みで当たり前だ」と述べ、東電支援には人件費削減が必要との認識を示しました。
東京電力は競争下にさらされていない「国策民営」という特殊な形態を取っていることを理由としているのかもしれませんが、東京電力はあくまでも民間企業です。
東京電力の株式のうち政府や地方公共団体が所有する分は、わずか2.7%に過ぎません。
残りは、個人等が44%、金融機関が30%となっています。
給料額など細かな経営判断について、一国の大臣が軽率に口に出せるものではありません。
そもそも、責任範囲が理解できずに、失言の連続を重ねるのは、野党暮らしの長かった民主党の特徴です。
経団連の米倉会長も26日の記者会見で、枝野経産相のこの発言について、「政府は(自らの)責任を自覚すべきで、東電への要求が一方的すぎる」と述べています(※:9月26日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110926-OYT1T00926.htm)。
枝野経産相は、官房長官時代にも、金融機関は東電向けの債権を放棄すべきだという主旨の発言をし、金融機関の株価下落などをもたらし混乱を招きました。
この枝野経産相の執拗な「東京電力バッシング」とも取れる一連の言動は、今回の原発事故に関して、政府の責任をかわすために東京電力を「犯人」に仕立て上げようとしているようにも見えます。
マスコミも原発事故以来、東京電力バッシングを続けていますが、「東京電力が加害者」というレッテルが定着することは公平な見方ではありません。
原子力賠償法では、「異常に巨大な天災地変による原子力損害」については原子力事業者を免責とする条項があります。
この条項を素直に解釈すれば、今回の原発事故の直接原因は大地震に伴う大津波により引き起こされたものであり、免責される可能性があります。
しかし、政府は、今回は「異常に巨大な天災地変」には当たらず、東京電力の不手際による「人災」と言い続け、東京電力が賠償責任を一義的に負うとしてきました。
最終的には、事故調査委員会がきちんと調べ、司法判断によって「免責か否か」が決定されるはずですが、それを待たず、「政府に責任はない。東京電力の責任だ」と言い張るのは、政府が責任を免れたいためではないでしょうか。
しかも、マスコミも風評被害という名のマスコミによる報道被害まで、全てを東京電力の責任にしようとしています。
このままでは、東京電力が債務超過に陥り、事実上の国有化にされる可能性があります。
民主党は潜在的に社会主義体質を持っています。
電力事業を国の管理下に置き、民主党の権力拡大を許せば、電力不足の懸念と共に、不況と増税が日本経済を一層停滞に沈むことになります。
今回の原発事故に関しては、政府にも責任があることを忘れてはなりません。枝野経産相もその責任者の一人だという自覚を持つべきです。