9月16日、政府税制調査会が復興増税として、「所得税と法人税」とする案と、「所得税と法人税とたばこ税など」とする案の2つを決定しました(※9月16日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110916-OYT1T00996.htm)。
野田首相は、「困ったときは分かち合いの精神で」という美辞をよく使い、同調するマスコミの報道も目にします。
中国よりの政策に徹することで、経済界も味方につけて政権交代した民主党。
そしてなぜか、利益を憎み、大企業を目の敵にしたマスコミよって政権交代した民主党。
よってマスコミに弱い民主党。
政権交代直後に、各省庁に対して、文句があるなら選挙を通ってから言え!と息巻いた菅直人氏。
今、政治主導に頓挫した民主党政権は、財務省のスポークスマンに徹し、増税路線をまっしぐらです。
しかし、なぜ復興の財源が税金になるのか、その議論をろくにせずに増税だけを前提とすることは問題です。
国の負債は900兆円を超えますが、その大部分は元をたどれば国民が債権者です。
増税というのは、「国民からの借金(国債)がいっぱいあるので、それを返すために、国民から現金で徴収(税金)しますよ」という、きわめて政府にとって都合のいい話なのです。
本来なら「国は私たち国民に借金を返済すべきである」といっていいくらいなのです。
そして、その増税の口実を「震災復興」としているのです。
しかし、復興財源を税金とする必要はまったくないのです。
例えば、国債を更に発行してそれを日銀が引き受けて、政府が大規模な公共投資を行えばよいのです。
デフレギャップが20兆円あると言われる日本ですので、その規模までは悪性のインフレを心配する必要はありません。
国債の追加発行は、短期的には財政赤字の拡大を招きますが、震災復興のためのインフラ整備は、将来への大きな投資となります。
つまり「資産」として後世に遺りますし、適切な投資は将来富を生み出し、それが経済成長・税収増へとつながるのです。
反対に、民主党が行うバラマキ的な政策は多少の消費促進効果しか生まず、経済成長をもたらす生産性の向上にはつながらない、浪費型の赤字と言えます。
また、政府は増税に理解を得るために、保有する日本郵政株の売却を検討しています。
確かに政府保有株の売却は、重要な資金調達手段であり、民営化を進める上でも重要です。
しかし、現在は株を売るタイミングとしては最悪です。日経平均で9,000円割れが続いている歴史的な安値で売れば、それだけ売却益が少なくなるのは自明の理です。
最悪の場合、売却株を市場が吸収できなければ、株安に拍車をかけることになります。
このような基本的な経済原理を無視して稚拙な経済運営を続ける民主党政権と、ただ自らの立場だけを考える財務省は、国民の立場に立たず震災を口実に税金を取ろうとする「火事場泥棒」と言えます。私たちは増税に「ノー」を突きつけねばなりません。