【唐突宣言に反発―首相「脱・原発依存」】2011年7月15日 東京より
菅直人首相が表明した「脱・原発依存」宣言。一夜明けた十四日、政府・与野党内から水を差すような発言が相次いだ。
方向性は間違っていないというのが共通認識だが、退陣する首相がほとんど議論せずに政策転換したことが反発を招いている。
枝野幸男官房長官は十四日の記者会見で、首相の「脱・原発」宣言について「政府の見解というより、首相は遠い将来の希望を語った。
国民的な議論を展開するスタートとしての方向性を示した趣旨と理解している」と強調した。
首相の女房役の官房長官は本来、首相の発言を国民に積極的にアピールする立場。首相の発言を矮小(わいしょう)化するかのような言い回しをするのは異例だ。
民主党の岡田克也幹事長も会見で「首相の思いを述べたと理解している。本格的な議論はこれからだ」と指摘。
玄葉光一郎政調会長も「政府内でコンセンサス(共通認識)が得られているのは『減・原発』。ゼロにするかどうかはもう一回、大きな議論をやらざるを得ない」と足並みをそろえた。
福島第一原発事故の深刻さを目の当たりにしたことで「方向性としての脱原発はだれもが認めるところ」(民主党の黒田雄衆院議員)。
それでも「脱・原発」宣言が盛り上がらないのは産業界などへの影響の大きさだけでなく、首相への不信からだ。
今回の宣言で、首相は政府・与党内に根回しした形跡がない。
宣言の中身そのものより、唐突に重要政策をぶち上げてきた首相の癖がまた出たことが問題なのだ。
政府内では「関係閣僚と打ち合わせしないで、政府方針と言えるのか」との声も漏れる。
しかも、首相は再生エネルギー特措法案などが成立すれば退陣することになっている。
首相が「脱・原発」宣言を“延命”に利用するとの見方もあり、早期退陣を求める執行部としては安易にエールを送るわけにはいかない。
首相は十四日夜、石井一副代表らと会食した際「脱・原発」宣言について「思い付きではない。信念として貫いていきたい」と強調した。
引用、以上。
菅首相が考えているように、代替エネルギーの確保はそれほど簡単ではありません。
再生可能エネルギー(自然エネルギー)を進めることは良いとしても、安定供給、コスト、発電量の観点から、原子力の代替電源にはなりません。
その結果、代替電源として火力発電が必要不可欠となり、燃料の輸入が増加し、国富の流出が起きると共に、エネルギー安全保障が危機に陥ります。
原子力を全て廃止すれば、年中、節電を全国に強制することになり、国民生活に不便や健康被害をもたらすだけでなく、生産活動を停止させ、産業の空洞化を加速させます。
全ての原子力を廃止すれば、景気の低迷、失業、産業の国外移転が発生し、間違いなく日本は転落し、他国の侵略に抗することができなくなります。
菅首相は、エネルギーの供給の減少がGDPの減少、国力の低下に直結することを知るべきです。