菅首相のストレステストによって、産業界にも大きなストレスが溜まっています。
8日には、ストレステストの実施を受けて、四国電力伊方原発や九州電力川内原発も当面の再稼働を断念しました。
電力不足で企業は節電を強いられ、生産活動が落ち込んでいる中、菅首相が打ち出した全国の原子力発電所へのストレステストが、さらに大幅な電力不足をもたらし、産業の空洞化を加速させています。
また、「脱原発」による火力発電への依存により、電力各社の経済的負担が高まっており、それは電気料金の大幅引き上げに直結します。
電気料金の大幅引き上げは、世界市場で競争する企業にとっては大きな重荷であり、多くの企業が海外脱出を真剣に検討し始めています。
産業空洞化が失業者の増大や消費の低迷に拍車をかけることは間違いなく、ストレステストは、まさしく「日本経済沈没宣言」であります。
【「こんなばかな話、考えられない」経団連会長、机たたき怒るストレステスト政府見解に】2011年7月11日 産経
経団連の米倉弘昌会長は11日の会見で原発のストレステスト(耐性検査)に関する政府の統一見解について「首相が何を考えて言ったのか、政府内で混乱している。こんなばかな話、考えられない」と政権の混迷ぶりを非難した。
そのうえで「見解文書に『国民の十分な理解が得られていると言い難い』とあるが、これは自分たちがつくり出した状況だ」と机をたたいて怒りを表明した。
ストレステストそのものについても、「突然出てきたものでよく分からない」と疑問を呈し、「福島原発事故は原因の徹底糾明と安全基準の見直しが必要だが、これまでの定期点検とどういう関係があるのか明らかにすべきだ」と強調した。
さらに「震災から4カ月経つが、政府の対応は対症療法ばかりで政策の予見性が著しく低下し、安定的な経済活動ができない」と指摘。
「先週訪問した欧州でも国際的な信任が保てるかどうかを肌で感じた」と述べ、「政府は国内外の声をしっかり受け止め、国民、自治体、企業と十分議論を行ったうえでスピード感を持って対処してほしい」と苦言を呈した。
[関連記事]【関電、5000億円を借り入れへ=三大銀など段階的に融資】2011年7月11日 時事より
関西電力が取引金融機関に総額5000億円規模の新規融資を打診したことが11日、明らかになった。
定期検査中の原発再稼働が難航し、代替となる火力発電の燃料費などが大幅に増加するため。
みずほコーポレート銀行など三大銀と、他の金融機関は関電の資金需要に応じ、段階的に融資を実行する方針だ。
原発停止が電力各社の資金繰りに影響している状況が鮮明になった。
東京電力の福島第1原発事故後、電力各社の社債発行環境は悪化。関電は6月に200億円の起債を断念した。
さらに、原発を抱える自治体に不安が広がり、定期検査中の原発は再稼働の見通しが立たない状況となっている。
今夏には関電の原発全11基のうち、6基が停止。政府が導入を決めたストレステスト(耐性評価)の進行次第では、さらに多くの原発が止まる見通しだ。
関電は従来、電力供給量の過半を原発に依存し、火力発電の増強には大量の資金が必要。社債の償還費も必要となった。借入総額は5000億円規模から、さらに増える可能性もある。