【新型ミサイル潜水艦を配備=近海から米攻撃可能―中国軍】2011年6月30日 時事より
中国系香港誌・鏡報7月号は、中国海軍がこのほど、最長射程1万4000キロの弾道ミサイルを搭載する新型の「清」級潜水艦を配備したと報じた。7月1日の中国共産党創立90周年に合わせて就役させたとみられる。
「夏」級などこれまでの弾道ミサイル潜水艦が原子力推進だったのに対し、「清」級は通常動力を採用。中国近海から米本土を攻撃する能力を持ち、その配備には「中国の核戦略をより合理的、より効果的にする」意義があるという。
引用、以上。
「清」級潜水艦はディーゼル機関を動力源とする通常動力型潜水艦であり、この報道だけでは攻撃型潜水艦か戦略潜水艦かは判別がつきません。
原子力潜水艦と対比して、ディーゼル潜水艦のメリットは、音が極めて静かで発見されにくく(原潜は冷却ポンプを止めるわけにはいかないため、音が出ます)、建造費や運用費、廃艦の処分費が安いことにあります。
一方、ディーゼル潜水艦は原潜と比べて、長期間の潜航ができない、航続距離が短いというデメリットがあります。
弾道ミサイル発射のプラットフォームとしての戦略原潜は、アメリカの世界戦略である「シーパワーによるコントロール」、制海権の獲得と深く結びついており、「核抑止力による本土防衛」の要としてのパトロールも含まれています。
しかし、中国は「シーパワーによるコントロール」ができるほど世界戦略もシーパワー自体も充実していないため、「核抑止力による本土防衛」のみを追求するだけでよく、中国近海でしか活動することができない核ミサイルを搭載した通常動力型潜水艦を採用したものと考えられます。
最長射程1万4000キロの弾道ミサイルによって、中国近海から米国本土の大半を射程が入り、米国にとっては脅威が高まります。
要するに、容易には発見できない海底からの移動式ICBM発射施設が整備されたということであり、発見されにくい分、核抑止力は高まります。
日本としても、原子力潜水艦を導入し、中国に対する核抑止力を高めていくことが急務です。