【公立小・中の土曜授業、東京では3倍増】2011年6月27日 産経より
学力向上を強く意識した新しい学習指導要領では、教育内容が増え、各学校は十分な授業時間数をどうやって確保するか苦慮しています。
そんななか、東京都内の公立小・中学校の約3割が、月1回以上「土曜日授業」を実施していることが、東京都教育委員会の調査でわかりました。
公立学校は現在、原則として完全学校週5日制となっていますが、今後、授業時間数の不足を背景に、土曜日授業を実施する学校が増えることが予想されます。
東京都教委は2010(平成22)年1月、学校と地域の連携など「開かれた学校づくり」を目的に、保護者や地域住民に授業公開するなどの条件付きで、「月2回」まで、土曜日授業の実施を認める方針を打ち出しています。
調査結果によると、2011(平成23)年度に土曜日授業を実施している都内の公立学校は、「月1回程度」が小学校20.6%、中学校21.4%、「月1~2回程度」が各10.6%、8.5%、「月2回程度」が各1.4%、1.8%となっており、合計すると小学校の32.6%、中学校の31.7%が、月1回以上の土曜日授業をしている計算になります。
2010(平成22)年度に月1回以上の土曜日授業をしていたのは、小学校が9.5%、中学校が11.8%でしたから、いずれも約3倍程度増えたことになります。
土曜日授業を行う学校が今春から増加した理由としては、小学校で新学習指導要領が全面実施に入ったこと、中学校でも理科や数学の授業時間数を
増やしたこと、そして、それぞれの学校を所管する区市町村教委が、都教委の方針を受けて、土曜日授業の導入指針を決定したことも大きいようです。
調査によると、62区市町村教委のうち、45.2%に当たる28区市町村教委が土曜日授業実施の基準を策定しており、そのうち19区市村教委が、全部の公立小・中学校で土曜日授業を導入しています。
一方、ベネッセ教育研究開発センターの調査を見ると、全国で2010(平成22)年度に土曜日授業を実施した学校は、小学校が4.8%、中学校が4.5%でした。
東京都の土曜日授業が、いかに多いかがわかります。東京都内には土曜日にも授業を行う私立学校が多く、公立小・中学校といえども私立との競争が避けられないという特別な事情があるせいかもしません。
ただ、新学習指導要領の実施による授業時間数の不足は、全国共通の課題です。
中学校が全面実施に入る2012(平成24)年度には、全国的にも、土曜日授業を実施する学校が増える可能性があります。
既に栃木県教委は、東京都と同様に「月2回」まで公立小・中学校の土曜日授業を認めるという基準を策定しています。
今秋ごろから年末にかけて、どの程度の教育委員会が追随する動きを見せるのか、注目されるところです。
このほか、原発事故に伴う電力不足のため節電を迫られる学校では、夏場にエアコンが使えなくなるという事情も見逃せません。
夏休みを短縮して授業時間数を増やすという計画を立てていた教育委員会にも、見直しの動きがあります。猛暑と電力不足が続けば、さらに土曜日授業が広がるかもしれません。
引用、以上。
「脱ゆとり教育」が、小学校では2011年度より、中学校では2012年度より完全施行され、減り続けてきた授業時間はおよそ30年ぶりに増加しました。
これまで、授業時間や内容が削減されて来た「ゆとり教育」が転換され、授業時間は小学校は6年間で278時間、中学校は3年間で105時間、授業時間が増えることになりました。
さらに土曜日に授業を行う学校が今春から増加した理由は、記事にもありますように、小学校で新学習指導要領が全面実施に入ったことと関係があります。
今春から小学校で使用する教科書は、全教科でゆとり全盛期の2001年度より43%(2004年度比25%)ページ数が増えます。
しかし、小学校は6年間で278時間増とは言っても、週当たりに直せば小学校1~2年生は週2時間増、3年生以降は週1時間増に過ぎません(2008年度比)。
そのため、どうしても授業時間が足りず、土曜授業を行わざるを得なくなっているのが現状です。
ゆとり教育導入後に小学校は6年間で418時間削減されたことを考慮すると、教科書だけでなく、授業時間もゆとり以前に戻すことが求められます。
これは私立では当たり前のことです。首都圏一都三県の私立中学283校中、土曜授業を行っているのは過半数を大きく超える170校(60.1%)もあります。
公立が私立と同等の教育の質を確保するためには、土曜授業を復活し、授業時間を完全に元に戻し、ゆとり教育と訣別することが求められます。