【「南シナ海で緊張要因」中国を批判 2プラス2】2011年6月22日 時事より
クリントン米国務長官は21日午前(日本時間同日夜)の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、南シナ海の領有権争いをめぐりベトナムなどと衝突している中国について「南シナ海の航行問題は地域の緊張要因になっている」と批判した。
松本剛明外相も「(中国が)東・南シナ海で航行の自由との関係で摩擦を生じさせている」との認識を示した。
日米が合意した共通戦略目標では、南シナ海などの地名を挙げず、中国の名指しも避けつつ、「(軍事力の増強が)地域の安保環境を不安定化し得る」などと盛り込む配慮を見せたが、意見交換の場では同国に対する強い警戒感を示した形だ。
またクリントン長官は、昨年9月に東シナ海の尖閣諸島沖で中国漁船衝突事件が起きたことを踏まえ、尖閣諸島について「(米国の対日防衛義務を定めた)日米安保条約5条が適用されるとの米国の立場を改めて確認する」と表明。
日米両国が関係各国と協力し、国際規範の順守などを中国に求めていく方針を確認した。
一方、北沢俊美防衛相は「人道支援、災害救援分野で中国と一緒に取り組むことは、建設的な関係を築く上で重要だ」と指摘。クリントン長官、ゲーツ国防長官は「非常に素晴らしいアイデアだ」と賛同した。
引用、以上。
昨年のアジア太平洋フォーラム以来示されてきた米国の対外政策の変更は、主に軍拡著しい中国の動向を意識したものです。
米国はイラク・アフガニスタン戦争という戦略上の大失敗により、今後は容易には他国に軍事介入がしにくい状態です。
米国は財政上は膨大な赤字を抱え、軍事的にも更なる人命の損失は避けたいものとなっています。
そのため、米国が対外政策で取れる選択肢は限られたものとなり、米国の重要な国益を保護するには、選択的な介入と同盟国の役割を拡大させることを狙っています。
日本にとってもこれは他人事でありません。
2プラス2会議で示されたサイバー、宇宙空間の防衛は日本が何もしていない領域です。
逆に、米国ではサイバー軍、宇宙軍が作戦能力を獲得しており、新たな競争空間でも優位を維持しようと力を傾けています。
同盟国として何もしていない日本は、今後、米国と共同作戦が取れないだけでなく、有事において怠惰な同盟国を見捨てるという可能性も考えられます。
「同盟関係」というのは、友情関係ではなく、互いにとって「利益」がある体制だから存続するのであって、そうでなければ破棄されるのが、国際政治の常であることを理解しておく必要があります。