【南シナ海の対立、口論から武力誇示へ】2011年6月14日 朝鮮日報より
中国とベトナムなどが領有権争いを繰り広げる南シナ海で13日午前、ベトナムは海上実弾射撃演習を強行し、両国間の緊張が高まっている。これまで「口論」にとどまっていた争いは武力誇示の段階を迎えた。
台湾国防部(省に相当)は同日、南シナ海の状況を監視するタスクフォース(機動部隊)を構成し、フィリピンは28日から米国と合同海上演習を行う計画だ。
ベトナム海軍は同日、同国中部クアンナム省沖40キロの南シナ海で実弾射撃演習を実施した。
中国が今月9日、太平洋公海上で海軍が定期演習を行うと発表すると、ベトナムは実弾射撃演習で受けて立った。
ベトナム海軍関係者は「午前中の4時間にわたり実弾射撃演習を行い、夜間にも5時間の射撃演習を実施する」と述べた。中国はベトナムに自制を求めた。
一方で中国紙・環球時報が「ベトナムの実弾演習は中国の強硬な措置につながる」と報じるなど、中国側もベトナムを脅した。
南シナ海の領有権をめぐる両国の対立は、今に始まったことではない。
しかし、先月26日にベトナム中南部のニャチャンから北東に120キロ離れた南シナ海で、ベトナムの石油ガス探査船が探査作業を行うために敷設したケーブルを中国側の巡視船が切断する事件が起き、対立が深まった。
ベトナムは2009年、ロシア製の潜水艦6隻、スホイ戦闘機12機の導入を決めるなど、近年軍事力を強化してきた。
しかし、ベトナムの軍事力は中国の相手にはならない。中国は今年下半期に空母の進水を予定しており、潜水艦、駆逐艦など海軍力でもベトナムを圧倒している。
香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは、ベトナムの軍事演習は中国を直接狙ったものではなく、米国を引き込み、国際社会の同情を得るための戦略だと分析した。
ベトナム外務省のグエン・フオンガー報道官は11日「南シナ海で平和と安定、安全保障を維持することが域内外の全ての国に共通する関心事だ。国際社会のあらゆる努力を歓迎する」と表明した。
南シナ海の領有権争いに関与している台湾、フィリピンも中国とベトナムによる対立を注視している。
台湾国防部の羅紹和報道官は13日「南沙(スプラトリー)諸島の領有権紛争が激化したことを受け、南シナ海の状況を監視し、情報を収集するため、タスクフォースを設置した」と述べた。米国の動きも関心を集める。
フィリピン国防省は13日、フィリピン南西部の海上で今月28日に米国と合同海上演習を実施する計画で、演習には弾道ミサイルを搭載できる米国のイージス艦が参加すると発表した。
また、共同通信などによると、米空母ジョージ・ワシントンは12日、西太平洋での多国籍による警戒任務に当たるため、日本の横須賀港を出港した。
ゲーツ米国防長官は今月4日、「南シナ海での船舶の自由航行を守ることは米国の利益に合致する。国防予算が縮小されても、米国による介入を強化する」と述べた。
しかし、南シナ海の緊張が最悪の事態に至ることはないとの見方が有力だ。
英BBC放送は「経済成長のために周辺地域の安定が必要な中国は、領土紛争が戦争に発展することを望んでいない」と指摘した。
米国防総省のトナー副報道官は「南シナ海問題が外交的に解決されることを望んでおり、紛争を起こすいかなる行動にも反対する」と発言した。
米国が南シナ海問題に軍事的に直接介入することはないとみられる。
引用、以上。
ベトナムは小国ですが、第二次大戦後、宗主国のフランスとインドシナ戦争を戦ってフランス軍を撤退させ、アメリカとベトナム戦争を戦って米軍を撤退させ、中国とも中越戦争戦って中国軍を撤退させ、独立を勝ち取った実績があります。アメリカと戦って勝利した世界で唯一の国です。
今回、南シナ海で中国が実効支配している島嶼の前面でベトナム軍が実弾射撃演習を実施したことで、中国側も強く反応し、緊張感が走っています。
米空母ジョージ・ワシントンも横須賀港を出港し、同海域に向かい、台湾国防部も情報収集のためのタスクフォースを設置するなど、南シナ海は風雲急を告げています。
一方、中国は著しい経済成長の中でエネルギー不足が深刻化する中、福島第一原発事故で原発拡張が困難になったため、南シナ海や東シナ海の豊富な石油・天然ガスに目を向け、海底エネルギー資源の確保を急いでいます。
米軍は緊張が高まる東南アジアからインド洋にかけてアメリカ軍の展開を増やす考えを明らかにしています。
米軍の配置も含め、日本は東シナ海の防衛戦略を立て直すことが急務ですが、相変わらず日本国内では政治の空転が続き、外交・安全保障は完全な機能不全状態に陥っており、尖閣・沖縄の危機はますます高まっています。