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2011/06/15 【北朝鮮:先週、ミサイル実験 09年10月以来】

【北朝鮮:先週、ミサイル実験 09年10月以来】2011年6月8日 毎日より

韓国の聯合ニュースは8日、情報当局者の話として、北朝鮮が先週半ば、黄海に面した平安北道で短距離ミサイルの発射実験を行ったと報じた。

北朝鮮によるミサイル実験は09年10月以来。発射されたのは、射程120キロの従来型を改良して開発中の新型だという。

引用、以上。

金正日氏から金正恩氏へと権力移譲の進んでいる北朝鮮では、韓国に対して強硬姿勢を示す機会が増えています。

昨年は韓国哨戒艦を撃沈する事件を起こし、今年は大延坪島(テヨンピョンド)砲撃事件を起こしました。

2011年以内に3度目の核実験を実施する可能性もあり、朝鮮半島の軍事的緊張が高まってきています。

今回、北朝鮮が行った短距離ミサイル発射実験には大きく2つのポイントがあります。

1つ目は、今回の北朝鮮の挑発行為は、米国よりも韓国や北朝鮮国内を相手にしたものである可能性が高いことです。

これは金正日氏の後継者である金正恩氏に軍事的権威を身につけさせ、国内の体制強化を狙ったものです。

北朝鮮の政治体制はマルクス・レーニン主義とは異なった、「主体思想」「先軍政治」によって形作られています。

「主体思想」は全ての政治的決定は偉大なる指導者である金日成、金正日両氏によって下されることを意味しています。

結果として、金体制を守るための軍事優先の政策となり、国内体制の強化は軍部との関係強化と同じことになります。

2つ目は、今回のミサイルは、中国との国境の近くから朝鮮半島西側の黄海に向かって発射されたものですが、中国との関係が深いものと推測されます。

金正日氏以後の北朝鮮が、対外的には今以上に中国傾斜を強めていく可能性が推測されます。

近年、金正日氏は頻繁に訪中を繰り返し、中国との結びつきを強めています。

北朝鮮にとっては中国との関係強化は破たんした経済への援助を受けることができ、中国にとっては北東アジアのリスク要因である北朝鮮を使って日米韓の連携を乱すことができます。

中国は北朝鮮を駒として扱うことができ、台湾侵攻を行うと同時に北朝鮮に韓国への攻撃を行わせることで、米国が介入しにくい環境を作り上げることができます。

今後、予想される北朝鮮の3回目の核実験と同時に、金正恩氏体制下の北朝鮮の外交姿勢も北東アジアの戦略環境を大きく変化させるものであり続けると推測されます。