【復興が遅れても「消費税10%」は着々と進む】2011年6月6日 夕刊フジ 高橋洋一(元内閣参事官・嘉悦大教授)氏より
社会保障と税の一体改革で「2015年度までに段階的に消費税を10%まで引き上げる」という方針が明らかになった。
民主党菅政権は、震災復興も進まず、東電福島第1原発事故対応でもモタモタしている。
そのほか、子ども手当などマニフェストに書かれたさまざまな政策の実現が遅れたり見直されたりする中で、消費税増税だけが着々と進んでいるのはなぜか。
それは、消費税増税を悲願とする財務省がマスコミを使って着々と手を打っているからだ。
菅政権に対する不信任案が提出されるなど、その行く末が危うくなる中で、政権がどうなっても増税路線が固まっていることを地ならしすることも目的としている。
税というのは「課税なくして代表なし」という言葉があるように、政治主導の代表例だ。それにも関わらず、税金の話は完全に財務省主導である。それは各紙の報道ぶりをみてもわかる。
1日の各紙はいずれも「社会保障と税の一体改革に向けた政府の集中検討会議(議長・菅直人首相)が6月2日に示す改革原案の全容が31日、明らかになった」という書きぶりになっている。
このように「…が明らかになった」というのは、ほとんど役所からのリーク情報である。
一般論として、役所の審議会の報告書が出るときには、マスコミが報告書を公表当日に読んで記事にしているのでない。
役所は事前に報告書をマスコミに配布して、その内容を説明する(「事前レク」という)。マスコミは発表当日に役所の事前レクどおりに報道する。通常は報告書の公表日までは事前レク内容を報道しないとされている。
というのは、審議会の前に報告書が決まっているなら、事前に役所の思惑で報告書ができていることがわかってしまい、審議会メンバーは何をしているのかと批判されるからだ。
実は、審議会は役所が動かしており、審議会メンバーは御用学者などで構成されているのは事実だが、それをあからさまにいえないのだ。
ただ、税金は重要な政治問題になる。民主党内でも政府案は「消費増税ありきだ」との批判が出ているので、政治の場で増税の是非が議論されるだろう。
今回の増税は、復興財源ではない。消費税引き上げの根拠として社会保障の財源としているが、その妥当性はどうだろうか。
社会保障に限らず経済状況を改善するほうが先決だ。そうでないと、増税が経済を押しつぶしてしまう。
内閣府によれば11年1~3月期のGDPギャップ(需給ギャップ)が▲3・9%で20兆円程度ある。
このままでは経済が弱すぎる。増税の前にやるべきことは多い。
引用、以上。
財務省がマスコミや審議会を使って、増税路線の地ならしをしていることが指摘されています。
高橋洋一氏は「経済状況を改善するほうが先決だ。そうでないと、増税が経済を押しつぶしてしまう」と結論を述べています。
これは幸福実現党が言っている「成長なくして増税なし」という論調と同一です。
政府は、経済成長による税収増を目指すべきであり、増税は経済成長を押しつぶし、結果的に税収減をもたらすだけです。
「増税する」と言っている政治家は、「経済成長」という未来思考ではなく、「現状追認」という現状維持思考であり、「自らが無能である」と公言しているに等しいのです。
適切な財政政策、金融政策、未来産業政策、規制緩和等によって、日本経済は高度経済成長を実現することは可能であり、これによって税収増を目指すのが必要な考え方ではないでしょうか。