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2011/06/13 【沖縄近海に中国空母の「影」、防戦・日本に政治主導の「陰」】

【沖縄近海に中国空母の「影」、防戦・日本に政治主導の「陰」】2011年6月12日 産経より

中国海軍が東シナ海で動き始めた。8、9両日、計11隻の海軍艦艇が次々に沖縄本島と宮古島の間を通過していった問題だ。

艦艇は3グループに分かれて航行した。第1グループは潜水艦救難艦や補給艦など3隻。第2グループはミサイル駆逐艦やフリゲート艦など5隻。第3グループはフリゲート艦3隻。

いずれも沖縄本島南端と宮古島の中間地点の公海上を南東に抜け、太平洋に向かった。潜水艦救難艦が含まれているため、潜水艦も周辺で息をひそめているのだろう。

日本政府が艦艇の動向を公表すると、間髪入れず中国国防省は6月中下旬に西太平洋で演習を行う予定であると明らかにした。

「年度計画内の演習」と強調し、遠洋訓練の常態化をアピールすることも忘れなかった。

プレゼンスを誇示一方、長期的にみると中国側の別の狙いも浮かび上がる。ある日本政府高官は指摘する。

(1)台湾海峡有事や尖閣諸島(沖縄県)・先島諸島侵攻での米軍の介入阻止に向け、太平洋でのプレゼンスを誇示する

(2)プレゼンス誇示の究極的目標ともいえる空母完成を見据え、米軍を待ち受ける際に空母のエスコート役となる艦艇に海域を習熟させておく――。

沖縄近海に中国軍の空母の「影」が、ひたひたと忍び寄っているわけだ。

艦艇の太平洋展開と歩調を合わせるように中国系香港紙「商報」は7日、中国軍の陳炳徳総参謀長が「空母を建造中」と述べたと報じた。軍の最高幹部クラスが空母建造を対外的に認めるのは初めてだという。

艦艇の行動と高官の発言は周到に計画され、すべて一本の糸で結ばれているかのようだ。

これに対し日本側の対応はどうだったか。むろん自衛隊のオペレーションにぬかりはない。

海上自衛隊の護衛艦とP3C哨戒機がマークし、警戒監視を続けている。P3Cは中国海軍の艦艇を写真におさめ、護衛艦から撮影した動画もある。

日本政府は右往左往問題はそこから先だ。

艦艇の動向を国民に公表するという単純極まりないオペレーションで、政府は右往左往した。

防衛省は第2グループの艦艇が沖縄近海を通過した1時間後の8日午後1時ごろ、事実関係を公表する手はずを整えていた。

だが、報道各社にペーパーが配られたのは午後5時ごろになってからだ。

防衛省→外務省→首相官邸。ペーパーはそのルートをたどり、4時間かけて回覧され、民主党政権の検閲を受けていた。動画の公表にいたっては、それから丸1日たった9日午後5時半だった。

政治主導により、中国を刺激しないよう賢明な判断を働かせていたのだろう。現段階ではどこで時間を浪費したのか定かでない。

ただ、昨年9月の中国漁船衝突事件で中国側に翻弄され、胡錦濤国家主席を前におどおどとメモを読んだ菅直人首相と彼の意をくむ官邸スタッフは、判断をためらった疑いがある。

外務省も疑ってかかるべきだ。中国への過剰配慮の“前科”があるからだ。

平成20年7月、中国は東シナ海のガス田「樫(中国名・天外天)」で新たに掘削を行っていたことが判明した。

日中両政府は同年6月、ガス田問題の協議で樫については共同開発の合意に至らず、継続協議の対象にした矢先だった。

現状維持すべきところを掘削したことは、中国側の明確な合意違反で、その不当な行為を確認したのは海自のP3Cだった。

当時、中国側は樫をはじめガス田周辺でのP3Cの飛行をやめるよう日本側に激しく抗議してきていた。「なぜ軍の航空機を飛ばし敵対的な行動をとるのか」という論理を振りかざした。

P3Cの飛行は正当な警戒監視活動であり、中国側の言い分に理はない。このため、防衛省も資源エネルギー庁も監視の強化を検討していた。

しかし、外務省だけは違った。「P3Cの飛行を控えるべきだ」。外務省は防衛省にそう迫ってきたというのだ。

「こともあろうに中国の意をくむとは…」。当時の防衛省幹部は絶句したものだ。

中国が東日本大震災発生に配慮し抑制気味だった日本への「示威行動」を活発化させたことは明白だ。

対峙する日本は民主党政権のもと、中国に対し過剰に配慮する姿勢が強まった。

まかり間違っても、中国軍ににらみを利かせる自衛隊の運用に暗い影を落とさないことを願うばかりだ。

引用、以上。

今回、外務省は「公海上で国際法上問題はない」と抗議しない方針ですが、中国に過剰に配慮し、何一つ物を言えない寝惚けた「弱腰外交」が国難をもたらしているのです。

日本政府や外務省は、中国の圧力を恐れ、中国脅威論を煽らないように細心の配慮をしていますが、それが中国の行動をエスカレートさせています。

松本外相は東日本大震災後、ロシアが救援隊や救援物資を送ってくれたため、同国が北方領土の駐留部隊増強計画を進めたり、日本領空に戦闘機を接近させる挑発行為を行っても、「お見舞いの言葉や支援の申し出をいただいているので…」と抗議しませんでした。

その結果、ロシアのイワノフ副首相は先月中旬、堂々と北方領土を訪問しています。

犯罪者が強盗行為をしているのを見て見ぬふりをしていれば、犯罪者はますます強盗行為をエスカレートするのは常です。

今回の中国艦艇の沖縄近海通過も、昨年4月10日の時よりも艦艇の数も増え、潜水艦も浮上航行を行っておらず、ますます中国艦隊の行動はエスカレートしています。

中国は、アメリカとよく似たディベートの国ではあるので、日本も少しは言い返したほうがよいと思います。これは、ディベート能力の問題であり、少なくとも、国家として固有の権利があるということは言わなければいけないと考えます。

「止悪」の意思無き「弱腰外交」こそが、日本の国難を招き寄せ、日本を断崖絶壁の亡国の危機に追い込んでいるのです。