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2011/06/11 【アジア関与の米けん制=西太平演習を定例化-対日、安保で譲歩せず・中国海軍】

【アジア関与の米けん制=西太平演習を定例化-対日、安保で譲歩せず・中国海軍】2011年6月9日 時事より

中国国防省は9日、海軍の艦隊が6月中下旬に西太平洋の公海で演習を行う計画を発表した。

中国海軍が小笠原諸島とグアムを結ぶ西太平洋の「第2列島線」にまで活動をより活発化させる事態に日米などは警戒を強めている。

具体的な演習区域には言及していないが、中国が「第2列島線」付近での演習を公に表明したのは初めてとみられる。

北京の外交筋は「アジア関与を強める米国をけん制する狙いがある」との見方を示している。

日本防衛省によれば、ミサイル駆逐艦など中国海軍の艦艇は8日に続き、9日も沖縄本島と宮古島の間の公海上を航行した。

中国側は、海軍が西太平洋で「毎年行う定例訓練」を予定していると公表。既に演習が定例化していることもうかがわせた。

中国の梁光烈国防相は5日、アジア域内外の国防閣僚らが参加するアジア安全保障会議(英国際戦略研究所主催)に初めて出席し、「永遠に覇権を求めない」などと演説。国際社会で広がる中国脅威論の払拭に躍起となった。

一方、米国防総省はこのほど、海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレーを来年後半に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備する方針を表明。

中国などをけん制する戦略とされた。南シナ海進出を拡大する中国に対抗して米軍が東南アジアでの存在感を高める動きとともに、「中国軍にとって看過できない」(米中関係筋)状況が生じている。

さらに、中国海軍艦隊の同公海上の通過が確認されたのは昨年4月以来。政局混迷で内政に手いっぱいの日本の隙を突いたようにも受け取れる。

東日本大震災では対日協力を惜しまぬ姿勢を強調しつつ、安全保障面では譲歩しない中国のしたたかな戦略を改めて印象付けた。

引用、以上。
今回、中国海軍の艦隊11隻が西太平洋へ抜けていきましたが、中国国防省は昨日9日、海軍の艦隊が6月中下旬に西太平洋の公海で演習を行う計画を発表しました。

中国海軍が「第二列島線」にまで活動範囲を広げる初めての事態に日米は警戒を強めています。

「第二列島線」とは、伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るラインです。

近年まで、中華人民共和国の海洋調査は、第一列島線付近までに留まっていましたが、最近では第二列島線付近にある沖ノ鳥島近海で調査を活発に行い、中国は、沖ノ鳥島が日本の周辺海域を排他的経済水域(EEZ)を設定できる「島」でなく「岩」にすぎないとの主張を強めています。

中国が第二列島線まで侵出し、「米国の海」とも言える西太平洋で活動の場を拡大することは「米中直接衝突」の可能性を意味し、それだけに米国は警戒を強めています。

米政界の重鎮、上院歳出委員長のダニエル・イノウエ議員は東京での日米関係をテーマにした講演で、あえて中国の空母建造や潜水艦増強などを指摘し「中国はわれわれの枠組みを試している」と警告しています。

日本は日米同盟を強化し、東シナ海で大規模な日米合同軍事訓練を展開する等、日米の一体感を演出し、中国に対する牽制を強めていかなければ、西太平洋が「中国の海」となり、首都圏を含む日本の太平洋側も中国の直接的脅威に面する日は近いと言えます。

また、日米同盟を基軸としつつ、中国に対して、同じ問題を抱える東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と連携し、「中国包囲網」を形成していくことが急がれます。