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2011/06/05 【中国、7月から南沙で石油探査か―フィリピン懸念】

【中国、7月から南沙で石油探査か―フィリピン懸念】2011年6月2日 東京より

中国が7月から南シナ海で、石油・天然ガスの新たな探査を始めることが2日までに分かった。フィリピン外務省が明らかにした。

同省は2日までに、両国などが領有権を争う南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺での可能性が高いとして、在フィリピンの中国大使館に懸念を伝えた。

南沙諸島をめぐっては両国と台湾のほか、ベトナムなど東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国が領有権を主張。

フィリピン政府によると、この海域での中国の資源開発は初めてとみられ、探査が始まれば新たな火種となりそうだ。

フィリピン外務省によると、中国が7月から最新式の探査・採掘装置を南シナ海に投入することが判明。

5月27日に中国大使館に、場所を明確にするよう伝達するとともに「フィリピン(が主張する)領海内での探査は許されない」と申し入れた。

フィリピン側は5月21日と同24日に、南沙諸島北東部で中国の海洋調査船や中国海軍の艦船を相次いで確認、中国のブイや鉄柱を見つけた。

フィリピン政府は探査と連動した動きとみて警戒している。

引用、以上。

中国とフィリピンの南シナ海での領有権争いは深刻なものになっています。フィリピンのアキノ大統領は6月2日、同国や中国などが領有権を主張する南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島付近での中国の度重なる示威行動について、国連に問題解決を求めると表明しました。

こうした領海を巡る対立の背景には、南シナ海のエネルギー資源の確保問題があります。

中国は高度経済成長によってエネルギー消費が急増しており、2009年には世界第1位のエネルギー消費国になっています。

中国の南シナ海進出の目的は、シーレーン(エネルギーの海上輸送路)の確保に加え、近年、海洋エネルギー資源の獲得が大きな国家目標となっています。

南シナ海には豊富な石油、天然ガスが埋蔵されている上、2008年、同海域での石油・天然ガスの埋蔵量の6倍に相当する、石油相当で185億トンに達する莫大なメタンハイドレートの埋蔵が確認されました。

こうした資源確保のねらいもあり、中国は南シナ海を「国家の核心的利益」と位置づけ、南シナ海での覇権確立を目指しています。

そのために中国は駆逐艦分隊を南シナ海で水上戦闘艦総合攻防訓練したり、多くの漁業監視船を南シナ海に送り込むなど、南シナ海の主権を強くアピールしており、中国初の空母「ヴァリャーグ(瓦良格)」が南シナ海艦隊に配属されるという噂もあります。

フィリピンでは91年のピナツボ火山の噴火がきっかけとなり、沖縄で起こっているような「米軍基地反対運動」が盛り上がり、米軍は91年に「クラーク空軍基地」、92年に「スービック海軍基地」から全軍撤退しました。

南シナ海におけるパワーの空白化を受け、中国はすぐさま92年に「領海法」を制定し、南沙諸島、西沙諸島すべてが中国の領土であることを一方的に宣言。続けて、同諸島の無人島に「補給基地」と称して海上基地等を強引に建設し、実効支配を広げています。

中国の南シナ海侵攻を受け、フィリピンではアメリカ軍を呼び戻すことに躍起になっており、米軍との軍事演習を活発に行い、中国を牽制することに必死になっています。

日本としては、中国が南シナ海をコントロールし、シーレーンを海上封鎖するような事態があれば、国家の存続に関わります。シーレーンの確保は「日本の生命線」です。

アキノ大統領は4月9日、「わが国の安全と主権が脅かされた時、米国と日本以上に頼りになる友はいない」と、中国の脅威から日米両国に守ってほしいとアピールしています。

日本は米国と協調し、外交・安全保障上の圧力を使って、南シナ海における中国の暴走、覇権拡大を食い止めていくべきです。