【天安門事件22周年、一触即発「革命の条件はあの時より整っている」】2011年6月4日 大紀元より
不穏な空気が漂い、一触即発の雰囲気さえ匂わせる中国は今日、「天安門事件」22周年を迎えた。
「あの事件以来最悪だ。今の中国の人権状況は」。「天安門母の会」の代表で、息子を同事件でなくした丁子霖さんはこう断言する。
社会矛盾が突出し、「火薬庫」のように人々の不満が立ち込める今年の中国は、あの22年前の中国を彷彿させる。
1人息子をなくした丁子霖さんは今年息子を弔うことができない。先月30日に、丁さんは国家保安関係者から、6月1日から「見張り」が始まると知らされた。
買い物や病院は警察同伴で行けるが、記者に会ったり、電話取材を受けたり、息子の死亡現場に行くことができない。
香港紙アップル・デイリーによると、天安門事件当時の総書記・趙紫陽氏の秘書・鮑彤氏(78歳)は5月31日に、夫人と一緒に保安に連行され、行方不明になっている。ここ数年になかったことだという。
天安門事件の再評価を主張する北京大学経済学院の夏業良教授もまた、当局から同事件にかかわる行事に参加するなと警告されている。
さらに、北京市公安当局は天安門広場や大きなターミナル駅で24時間の警備を増強させている。市内のホテルも、宿泊客に対して厳しいチェックを行うよう当局から指示を受けたという。
例年に増す今年の厳戒態勢について、丁子霖さんは「これが共産党だ。いかれている」と憤慨し、「中国の人権状況は大きく後退している」と批判した。
今年2月の「中国ジャスミン革命」の呼びかけからスタートした「不穏」な情勢は、最近になって揺れが激しくなった。
間近に起きた内モンゴル自治区の抗議活動に対する制圧に、当局は天安門事件を弾圧した部隊を派遣したと伝えられており、1989年との類似性が囁かれる。
1989年の春に中国で起きた民主化運動は、改革派の元総書記・胡耀邦氏の死をきっかけとし、共産党の政治改革を求めるものだった。
「天安門事件」という悲劇で終わった背景には、「当時の学生は共産党の残虐性を知らなかった」ことがある、とラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)は指摘する。
22年前と比べ、今の中国社会は多くの面で様変わりしているという。この22年間、経済の成長と社会の発展は社会の階層化と利益集団を生み出した。同時に、熾烈な官民抗争も各地で火花を散らしている。
現在中国でNGO組織が急増しており、それに加え、インターネットの普及や海外からの情報の浸透、法意識の芽生えなどにより、国家政権と民間社会という二元対立の構図が確立されている。これらの要素は22年前の中国社会には存在しない。
一方、政権と民間の対立構図は出来上がったものの、その対立と抗争はまだ「衝突」という段階に止まり、「決戦」にはたどり着いていない、とRFIは指摘する。
中東政変が拡大し始めた今年2月以降、中共政権は1989年以来もっとも残酷な制圧を始動させた。
著名な芸術家の艾未未氏をはじめ、多くの反体制派・人権弁護士・民主活動家を拘束・逮捕し、中東の「ジャスミン革命」が中国に波及することを死力で阻止した。これは天安門事件の再来を当局が危惧したものでもあった。
「中国のジャスミン革命」は不発に終わったが、北京政権が民主運動をいかに恐れているかを目の当たりにしたことには意義がある、と中国民主活動家・魏京生氏は米VOAに語った。
権利を主張する者を殺害する事件が頻発し、陳情を絶望視する者の爆破事件や、軍隊出動による少数民族への制圧などが起き、数々の「衝突」が火薬の匂いを帯び始めている。
上昇する物価、深刻な腐敗、何が安全かわからない食品問題、悪化する一方の生態環境。
庶民の生活を脅かすこれらの問題に、「人々は抗議し続けている。その中で経験を積み、規模を大きくしていく。それに対して当局は制圧を強めるが、その制圧が効かなくなる日は必ず来る。その時が『燎原の火』が燃え上がる日なのだ」と魏京生氏は語った。
引用、以上。
中国で1989年、学生らの民主化運動を当局が武力弾圧した天安門事件が起きてから、昨日4日で22年目を迎えました。
しかし、当局による警戒が強化されるなど、中国における人権の状況は悪化の一途をたどっています。
昨年、民主活動家、劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞した頃から、当局は民主化機運の高まりに神経をとがらせており、中東・北アフリカの政変をきっかけに「中国ジャスミン革命」の呼びかけが始まった今年2月以降は、人権弾圧がさらに厳しくなっています。
記事にもありますが、物価高騰、腐敗の横行、人権弾圧、食品衛生問題、環境破壊、就職難など、中国国民の生活を脅かす要素があまりにも多く、昨年1年間で起きた群衆抗議事件は23万件を超えているとも言われています。
オバマ大統領が19日、中東政演説の中で「(専制政治は)見かけは安定しているように見えても、中にいる人民の自由への希求は抑え込むことはできない」と語りましたが、中国人民の自由を求める発火点に向けて温度が上がっていることは間違いありません。