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2011/05/17 【社会保障改革―抑制策さらに踏み込みを】

【社会保障改革―抑制策さらに踏み込みを】2011年5月15日 産経 主張より

厚生労働省が社会保障制度の改革案を、政府・与党の「社会保障改革に関する集中検討会議」に提出した。

検討会議は、これをたたき台に、6月に社会保障と税の一体改革案をまとめるというが、厚労省案の最大の問題は、改革のあるべき姿を羅列するだけで、具体性に欠けることだ。実現性も疑わしい。

これでは絵に描いた餅だ。改革案全体の中でメリハリをつける必要がある。

厚労省案は、世代間の不公平是正に向け、子育て支援や就労対策など若者向けサービスの拡充に力を入れている。低所得者対策では、医療や介護、保育費などの自己負担額を合算し、上限を設ける仕組みの導入を提案した。

改革メニューの多くは、長年、懸案となってきたテーマばかりだ。

だが、そのわりには、改革の焦点である「膨張し続ける年金や医療、介護の費用抑制」をどうするのか、踏み込みが足りない。

社会保障費は毎年1兆円超のペースで膨らんでいる。震災復興もあり、国家財政はさらに厳しさを増している。

消費税増税など社会保障の新財源確保は不可欠だが、給付抑制策や削減内容もきちんと国民に説明しなければ、現実的な改革案とはいえない。

例えば年金なら、支給開始年齢の引き上げをためらうべきではないだろう。

デフレ経済下では給付額を抑制する仕組みも不可欠だ。

各制度とも救済すべき対象を見極め、支払い能力のある人には応分の負担を求める必要がある。

一体改革案は、民主党の意見を踏まえてまとめるが、同党内で負担増への反対意見が強いことも懸念材料だ。

間違っても新たなバラマキにつながるようなことがあってはならない。

厚労省案は、民主党の政権公約の目玉である子ども手当や、後期高齢者医療制度の廃止に踏み込まなかった。

民主党は、莫大な財源を要する「最低保障年金」の撤回を含め、今回の改革を政権公約転換の機会とすべきだ。

いま社会保障改革で問われているのは、いかにして持続可能な制度へと改めるかだ。

民主党政権はこれまで保障の拡充ばかりを目指し、国民の痛みが伴う改革には向き合おうとしなかった。それでは政権政党とはいえない。

引用、以上。

年金や医療、介護などの社会保障費は少子高齢化の進行とともに急速に膨張しています。

社会保障制度改革をめぐっては、毎年1兆円以上膨らむ給付を賄う財源として、政府も役所もマスコミも、「消費税増税」ばかりを議論していますが、「給付抑制策」「バラマキ削減」について、勇気を持って議論すべきです。

給付の抑制を図らなければ、いくら消費税を上げようとも「焼け石に水」であり、経済や税収に悪影響を及ぼすだけです。

かつて政府内でも給付抑制が議論されたこともありましたが、与野党とも高齢者の反発を恐れ、政治家は「バラマキの拡大と消費税増税」という安易な方向に逃げ、社会主義化しているのが現状です。

幸福実現党が主張している通り、「年金給付開始年齢の引き上げ」など、給付抑制策を恐れずに議論しなければ、年金は破綻します。

また、社会保障改革に関する基本政策部会では「公費に頼らない私的年金の育成」なども検討課題となっていますが、民間の積立型年金の導入等、大胆な規制緩和による政府負担の減少を目指すべきです。

本社説は結論として「民主党政権はこれまで保障の拡充ばかりを目指し、国民の痛みが伴う改革には向き合おうとしなかった」と述べられていますが、今こそ、政治家は勇気を持って、社会主義化していく「社会保障からの脱却」を果たさなければ、近い将来、大きなツケとなって国民を苦しめることになります。